原発テロ対策を目的に配備される巡視船と同規模のPL型巡視船=2012年9月

 原発のテロ対策を目的に、海上保安庁が2019年度から順次、15基の原発が集中立地する福井県に大型巡視船2隻を配備することが7月21日、関係者への取材で分かった。東京電力柏崎刈羽(新潟県)、中国電力島根(島根県)といった原発での有事にも対応可能で、日本海側の要にする。今後、同規模の巡視船を全国に展開していく方針。

 原子力施設への攻撃や放射性物質を使った爆弾の製造など核テロの脅威は国際的に高まっている。政府は国際原子力機関(IAEA)との対策協力を決めており、20年東京五輪・パラリンピックに向け体制整備を加速させる。北朝鮮漁船の違法操業や不審船の警備も念頭に置く。

 関係者によると、巡視船は約1500トンのPL型で全長約100メートル。ヘリコプター離着陸帯や機関砲を装備している。1隻約60億円の建造費をかけ、19、20年度にそれぞれ敦賀海上保安部に就役。新たに乗組員60~80人を配置し同保安部の体制は約2倍に拡充、放射性物質に関する教育も検討している。海上保安学校(京都府)は実習施設や練習船を増やす見通し。

 福井県は、関係省庁に提出した2019年度重点提案・要望で、「原子力発電所周辺地域の防災体制の強化」の項目に「大型巡視船を敦賀港に配備し、原発周辺の海上警備の強化を図ること」を初めて明記していた。敦賀海上保安部への配備について、県危機対策・防災課は正式には聞いていないとした上で、「いろいろな形で警備やテロ対策が強化されるのはいいこと」と話した。

 福井県には若狭湾沿いに再稼働した関西電力の大飯、高浜のほか、日本原子力発電敦賀や廃炉が決まった高速増殖原型炉もんじゅなどの原発が集中して立地。隣接する石川県には北陸電力志賀原発がある。

 政府は昨年12月、関係閣僚会議で警戒体制強化を確認。中国船の領海侵入が続く尖閣諸島周辺の警備を進める必要もあり、海上保安庁の18年度当初予算は過去最高の2112億円を計上した。今年2月には河野太郎外相がIAEAの天野之弥事務局長と会い、核テロ対策の協力を具体化させる取り決めに署名した。

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