講宿を目指し山道を駆け下りる子どもたち=11日、福井県敦賀市

力めしを食べる子どもたち=11日、福井県敦賀市

 山の神様に感謝し、田畑など村の平穏を祈る福井県敦賀市赤崎区の奇祭「山の神講(やまのかんこ)」が11日、行われた。山の神にいたずらされないよう顔や体を白く塗った子どもたちは、上半身裸の短パン姿で掛け声を上げながら山道を駆け抜けた。

 祭りは林業や農業で生計を立ててきた同区で室町時代から続くとされ、田畑を荒らす妖怪「ヌエ」を払う目的もあるとされる。区の小学生が参加し、新築や改築をした家が講宿として世話役を務めるしきたりという。

 今年は大将の森野巧巳君(4年)ら1〜4年生の計6人が参加。森野君はふんどし、5人は白い短パン姿で出発前に、「力めし」と呼ばれるこぶし大のおにぎりを食べた。

 午前11時には、子どもたちの姿を見ようと区民ら約50人が講宿の前に次々と集まった。輪を作った6人は家の中で「うーうー」とうめき声を上げながら3回、ぐるぐると回った後、一列になって家を勢いよく飛び出した。

 腰にしめ縄を巻いた森野君は、お神酒と米をすりつぶした「しとぎ」を持ち先頭へ。5人はわらを三つ編みにした「つと」を持って後ろに続いた。「やーまのかんこのまーつりじゃー」「そーりゃなーんのまーつりじゃー」と大声ではやしながら山道を駆け上がり、約500メートル先の「大日堂」を目指した。

 しめ縄やつとを、投げるように松の木の根元に供えお堂の中へ。しとぎを酒で溶いた物を顔や体に塗り地蔵の姿に化けた後、再び講宿を目指し山道を走った。

 講宿に戻ってきた子どもたちを、区民らは大きな拍手で出迎え。子どもたちは冷たい水で凍えながらしとぎを落とした後、家に入り暖を取った。森野君は「珍しくて面白い祭り。多くの人に見てもらえるようずっと参加したい」と笑顔で話した。

 東山一義区長(65)は「子どもが減っていく中で続ける難しさはあるがどんな形でも祭りを残していきたい」と意気込んでいた。

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