福井県や県教委の教員負担軽減策

 福井県内のある小学校の女性教諭は「マラソン大会や連合体育大会の選手を決めるとき、ビデオ撮影している」。選考の在り方について保護者からクレームがあった場合、“証拠”として提示するためだ。「先手必勝。それがトラブル回避につながるから」。ささいなことでも保護者に連絡するよう心掛けている。

 県内中学校の40代男性教諭は「不登校生徒の親とじっくり話そうと思うと、親が仕事を終えて夕食を取った後の午後8時ごろ、家にうかがうことになる」。当然、自身の帰宅時間は遅い。土日のどちらかは部活動で出勤している。「妻の理解は得られず、このままだと家庭が崩壊する」と自嘲気味に笑う。

 本来、家庭ですべきしつけを学校側に求める親もいるといい、「長時間労働や保護者との関係に悩み、結局は辞めてしまう人を何人も見てきた」。別の教員は「最近は過干渉かプチネグレクト(子育て放棄)の両極端な親が多い印象で、精神的に追い詰められる教員が多い」と漏らす。

  ■メールだから安心

 福井県の多忙化解消に向けた取り組みは2006年度から始まった。県教委は一部の公立学校教職員の勤務実態を調査し、会議の回数を減らすといった対策を打ち出した。福井市教委は同年度から、一斉メール配信システムを使った緊急連絡の仕組みを導入。他の4市町も取り入れている。

 このシステムによって、教員と保護者間の直接的なやりとりが少なくなった。福井市の小学校の女性教諭は「以前は夜中に保護者から電話がかかってきたこともあった。今はメールだから安心」。

 県教委は「現場の声を聞きながら、これまで以上に長時間勤務の削減に取り組んでいきたい」とする。来年度からは公立中高の部活動顧問の役割を担う外部人材「部活動指導員(仮称)」を導入する方針だ。

  ■効果は「?」

 部活動指導員制度は、教員の付き添いがなくても放課後や休日に生徒に教えられる。本年度から導入した岡山県のケースは、公立中約120校(岡山市を除く)のうち46校52部に運動部活動支援員51人を配置した。半数は各校の非常勤講師が担う。同県教委は「普段から教科を教えており、子どものことを分かった上で指導ができる。教員の負担軽減にもつながっている」と効果を実感している。

 ただ、福井県内の教員からは「余計に面倒になるのでは」と疑問の声も上がる。ある男性教諭は「仮にトラブルが起きたとき、責任を指導員に押し付けることはできない。結局は学校に持ち込まれて問題は複雑化し、事務的な仕事が増えると思う」と話し、「教員を増やし仕事を分担することが最善の策」と訴える。

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