【論説】改ざん、ねつ造、虚偽、隠蔽(いんぺい)…こんな言葉が飛び交った通常国会が事実上、閉幕した。ごまかし、はぐらかし答弁が横行し、世論調査などで反対の声が大半を占めていても、政府・与党は耳を貸すことなく、数の力で法案を成立させていった。これが「言論の府」と称される立法府なのか。

 安倍晋三首相の「1強」の下で与党は無論、官僚まで劣化が目に余る事態となった。財務省の文書改ざんでは、与党議員もこの1年余り、だまされていたことをもっと重く受け止めるべきだ。不祥事にしろ法案にしろ、政府は説明責任を果たしたといえるのか。それを容認した与党の罪も重いといわざるを得ない。

 森友学園問題で発覚した文書改ざん。決裁文書の改ざんという民主主義の根幹を崩す、あってはならない事態なのに、内部調査で処分を済まし、動機を問われた麻生太郎副総理兼財務相は「それが分かれば苦労しない」と開き直る始末。

 加計学園問題では、首相の「腹心の友」が理事長を務める学園に対して、国家戦略特区への申請を官邸が主導していたことを示す文書が愛媛県から出された。そこには首相と理事長の面会がきっかけとなった経緯も記されていたが、学園事務局長のうそ発言で解明はストップしたままだ。

 二つの問題に、首相は真正面から向き合おうともせず、与党も関係者の国会招致を拒み続けている。加計学園の理事長は会見で「お待ちしています」と言っているではないか。政治や行政の公平性に対する国民の不信を増幅させる重大な事案でありながら、核心部分は今なお、解明されていない。

 首相が「働き方改革国会」と評した中で、ねつ造まがいのデータが発覚し、裁量労働制の対象拡大は削除に追い込まれた。一方で高度プロフェッショナル制度(高プロ)の創設では、ずさんなヒアリングが判明しながら、なりふり構わず押し切った格好だ。

 「おごり」の最たるものが参院定数6増の成立だろう。合区選挙区の現職議員を救済する目的であり、首相でさえ「臨時的な措置」と答弁。「抜本改革だ」と強弁する自民党議員の姿には、党利党略むき出しとの批判は免れない。

 カジノを含む統合型リゾート(IR)整備法も、国民の7割が今国会での成立に慎重姿勢を示している中で強行突破。西日本豪雨対応の先頭に立つべき石井啓一国土交通相が審議に張り付いた。参院定数増もそうだが、ブレーキ役となるべき公明党が、政権や自民党に体よく利用されているかのような構図が透ける。

 国会審議が不要な政省令などに委ねている項目がIR法では約330、働き方改革関連法でも60以上ある。これでは国会軽視といわれても仕方がない。

 昨年の通常国会は「共謀罪」法を、委員会の中間報告という禁じ手で採決を強行し閉幕。「森友、加計隠し」と揶揄(やゆ)された。まずは閉会中審査で両問題の解明を図るべきだ。

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