【越山若水】子ども向けの「いろはかるた」は「いろは+京」の48文字を句の最初に置いて、教訓的なことわざを詠み込んだものである。江戸時代中期に京都で生まれたという▼かるたの文句は地方によって異なる。よく知られる「犬も歩けば棒に当たる」は江戸。上方では「一寸先は闇」、尾張は「一を聞いて十を知る」が定番である▼主に正月の遊びとして愛好され、読み上げた字札に合った絵札を取り合うルールは説明不要だろう。子どもたちは遊びを通じて生活の知恵やしつけを学んでいった▼「く」の項を拾ってみると…。江戸では「臭い物に蓋(ふた)をする」。都合の悪いことが世間に知れないよう覆い隠すこと。上方では「臭い物には蠅(はえ)がたかる」。悪い場所には悪い連中が集まる例えである▼カジノを含むIR整備法は、賭博罪の対象からカジノを除外し観光振興を図る狙い。ただし日本人の入場を週3回に制限するといったギャンブル依存症対策には不安が残る▼試しに「カジノ」をいろはかるた風に表現してみよう。「火事後(あと)の火の用心」。失敗してからでは遅い。何事も前もって用心することが大事と戒める▼「朱に交われば赤くなる」。人は周りの環境や友人によって左右される。「喉元(のどもと)過ぎれば熱さを忘れる」。苦しさも過ぎてしまえば再び過ちを繰り返す。こんな苦言を聞かされる人がいないよう、祈るばかりだ。

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