壁紙用の和紙を興味深げに見つめるマイケル・ヤング氏(左から2人目)=9日、福井県越前市大滝町の滝製紙所

 世界的に活躍している英国出身のプロダクトデザイナー、マイケル・ヤング氏が8日夜、福井市内で県内の和紙職人らと交流し、越前和紙を世界に発信していくため「これまでとは違う視点に立った“シフトチェンジ”が重要」とアドバイスを送った。9日は福井県越前市今立地域の和紙職人の作業場などを訪ね、1500年の歴史を誇る伝統工芸の奥深さに触れた。

 ヤング氏は1966年生まれ。99年から2002年にかけて有名な家具シリーズのデザインを数多く手掛けて注目を集めた。現在は香港を拠点とし、各国ブランドの照明器具や雑貨、空間など幅広い分野のデザインなどで活躍している。

 福井県内若手のデザイナーや建築士、不動産業らと連携し、福井市中央3丁目の空きビルを複合施設「クラフト・ブリッジ」に再生したデザインプロデューサーの黒崎輝男さん(東京)が、県内の伝統工芸の可能性を探ろうと友人のヤング氏を招いた。8日夜は、クラフト・ブリッジに越前和紙や越前漆器の関係者ら約20人が集まった。

 ヤング氏はスポーツ仕様専門だった台湾の自転車メーカーのラインアップを見直し、日常生活でも使える自転車をヒットさせた経験をジョークを交えて紹介。「創造性をもって別の分野にシフトすることで依頼主を助けられた。越前和紙は長い歴史があって大変だろうが、同じところにいては下がるだけ」と語った。

 9日は越前市大滝町と定友町の3製紙所や、産地に紙漉(す)きを伝えたとされる紙祖神(しそしん)・川上御前をまつる岡太(おかもと)神社・大瀧神社などを訪問。製紙所では日本画用の大型の麻紙を4人掛かりで漉く工程や、壁紙用の和紙に模様を付ける作業などを見学した。

 ヤング氏は、歴史と伝統が息づくものづくりの現場に感銘を受けたとし「世界中のクラフト、メディア関係者らに知らせたい」と話し、産地の発信に協力していく考えを示した。

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