教員の労働環境の実態を伝える紙面

 「学校はブラック企業だ」。福井県内中学校の40代男性教諭が打ち明ける。授業が終わり午後6時ごろまでは部活の指導。教材研究や翌日の授業の準備はそれからになる。クラス全員分の生活ノートのチェックもあり、仕事は山積みだ。

 午後9時すぎに、職員室を見渡しても「3分の1以上の先生は残っている。自分だけでなく、多くの先生は夜遅くまで仕事をしている」。県が盛んにPRする「学力・体力日本一」という福井ブランドも、大きなプレッシャーとしてのしかかる。

 全国学力テストの結果を待たず、県独自に分析するため教員たちが丸付けする。体力テスト時は学校ごとに前年との記録を比較する。ほかにも文部科学省や教育委員会からの調査依頼があり、小学校の30代女性教諭は「授業に集中したいけど、忙しくて時間がない」と話す。

  ■10年間で9人

 県教育委員会によると、昨年度までの過去10年間で自殺した教員は9人に上る。県教委は自殺者の年齢や要因などは明らかにしておらず、「家庭内の問題など仕事とは別の要因も含まれている」と説明する。2014年度の県内公立学校の教職員7447人のうち精神疾患による休職者は46人で、その割合は0・62%。全国を0・07ポイント上回っている。

 県教委の調査では、今年5月の公立教職員の1日の平均勤務時間は昼休憩1時間を含み、中学校が12時間34分、小学校は11時間38分、高校10時間52分で、県の条例で定められた勤務時間7時間45分を大幅に超えている。

 県教組は「各校の先生からは仕事が増えており大変という声をよく聞く。増員が必要」。ある男性教諭は「校長や教頭は『なるべく早く帰るように』と言うが、できるわけない」と吐き捨てる。

  ■自殺の原因は?

 2年前に自殺した福井県若狭町の中学校の社会科教諭、嶋田友生さん=当時(27)=の3カ月の時間外業務は月に128〜161時間。長時間労働による精神疾患と自殺に因果関係があるとして、今年9月に公務災害と認定された。父の富士男さん(56)は「残業や部活動による超過勤務が当たり前とされる風土は異様」と話す。

 ただ、富士男さんは自殺の要因はほかにもあると考えている。労務管理はどうだったのか、新任教諭に対し学校側はどんな支援をしたのか—。「息子が自殺した原因はまだ何も分かっていない。学校側は真摯(しんし)に受け止め、真実を述べてほしい」と訴える。

 中高と大学時代、ボート部に所属していた友生さんは、何事にも愚直にこつこつと取り組む人柄だったという。富士男さんは「ほとんど涙を見せん子やった。27年間、息子は息子らしく生きて、最後に解決できない課題にぶつかり、自分で人生を閉じた。退職という選択肢を考えられないほど、息子は追い込まれたんや」。

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