舌の位置

 本来、人は鼻で呼吸するが、日常的に口で呼吸している人は多い。日本病巣疾患研究会副会長の内科医、今井一彰医師(福岡県)は、口呼吸はデメリットがあるとし、鼻呼吸を促す口の体操「あいうべ体操」を考案、免疫力を高める「息育」に取り組む。このほど福井県敦賀市で講演し「鼻は空気清浄機能を持つ。口呼吸を鼻呼吸にすると、自律神経が整えられ、ドライマウスやうつ病、膠原病などの改善にもつながる」と訴えた。

 ■加湿機能付き清浄機

 発話や歌唱、激しい運動時などには口呼吸をするが、それ以外の安静時は、鼻から吸って鼻から吐く鼻呼吸が正常な呼吸法だといわれている。今井医師いわく「鼻は加湿機能付きの空気清浄機」。日常的に口呼吸をしていると乾燥した空気を吸い込み、ウイルスが体内に侵入したり、喉に負担をかけたりする。

 ただ、日本人の大多数は口呼吸だという。口内が乾燥すると、唾液による殺菌・消毒作用が発揮されず、細菌が繁殖しやすくなる。虫歯や歯周病、口臭などの悪化につながるほか、自律神経のバランスが乱れ、さまざまな病気が起こりやすくなる。今井医師のクリニックで鼻呼吸を指導したところ、アトピー性皮膚炎、関節リウマチ、抑うつ状態、全身の疲労感、便秘などが改善したという。

 ■舌先を上あごに

 今井医師は鼻呼吸を習慣付けてもらおうと、舌の位置を調整し、口呼吸を鼻呼吸に変える体操を開発。「あ、い、う」と口を大きく動かし、口輪筋や表情筋といった口の周囲の筋肉が鍛えられる。そして「べー」と舌を出して舌の筋肉を養う。この動きを繰り返し、舌を正しい位置(舌先が上あごにくっつく状態)に引き上げる。1回4〜5秒かけて行い、これを1日30回を目安に毎日続ける。「入浴時に行うのがお勧め。分けて行ってもよい」と今井医師。小学校に出向いて指導したり、講演会を開いたりと、各地でこの体操を広めている。

 表情筋を鍛え、鼻呼吸を促すことで、口呼吸の人の特徴とされる▽口角の高さが違う▽下唇が分厚い▽目の大きさが左右で異なる▽歯ぎしりをする▽いびきをかく−などの改善がみられたという。

 敦賀市での講演会(敦賀地区歯科医師会主催)では、市民ら約200人に直接あいうべ体操を指南。「人は1日約2万回呼吸しているといわれる。呼吸は健康を左右する。指導した小学校ではインフルエンザの罹患(りかん)率も減った。鼻呼吸を日本の文化にしたい」と話していた。

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