ポストこしひかりの品種が決定し、笑顔を見せる福井県農業試験場の清水豊弘場長(左端)ら=2日、福井県庁

 ポストこしひかり決定品種の食味評価値0・70という日本穀物検定協会の報告を、福井県の関係者は喜びと驚きを持って受け止めた。というのも全国のブランド米を代表する山形県の「つや姫」(2006年産)の0・5強、来年の本格デビューに向け試験販売中の新潟県の「新之助」の0・55(14年産)を、大きく上回る高評価だったからだ。目標とする「日本一のブランド米」へ、この高い食味を全国の消費者に届ける情報・販売戦略が鍵となる。

 料理評論家の服部幸應さんらブランド化戦略会議の試食や県民千人による食べ比べでは、最終候補4種類の食味評価は拮抗(きっこう)。品種決定の判断は事実上、日本穀物検定協会に委ねられた。

 同協会の評価値が県に届いたのは11月末。決定品種「越南(えつなん)291号」以外の3種類も、いずれも0・60を超え、つや姫と新之助を上回った。県農林水産部の中村保博部長は「これが60年前にコシヒカリを生んだ福井の技術力。石墨慶一郎博士から代々受け継がれてきたもので、品質には絶対の自信があった」と冷静に受け止める。

 「ポストこし」開発では、コンセプトに▽おいしい▽作りやすい▽環境に優しい—を掲げ、作付面積日本一のコシヒカリを超す品種を求めた。県農業試験場の清水豊弘場長によると、おいしさでは「粒感があって粘りも強い、今までにないタイプのコメ」になり、作りやすさでも「病気に強く高温でも実りが良く、短く固めの茎で倒れにくい」ことを実現したという。

 ポストこしに決まった越南291号に対しては、都内米穀店主やプロの料理人も「毎日食べても飽きることのないコメ」などと高く評価した。

 ただ高い食味が、そのまま「高価格帯での販売」につながるとは限らない。本年度内に県がまとめるブランド化戦略の行方と、情報発信や販売に県を挙げて取り組めるかなどがポイントとなる。

 20日スタートの名称公募では、県内企業などに告知動画や公募サイトにつながるQRコード付きシールの活用を呼び掛ける。名刺や年賀状に貼ってもらい、ポストこし情報を全国に拡散するのが狙い。関係者は「どれだけの協力を得て、どれだけの作品が寄せられるかが、一つの試金石」とみる。

 流通・販売面ではJA県5連の田波俊明会長が「『福井は、すごいコメを作ったな』と言われるよう県JAグループを挙げて取り組んでいきたい」と強調。西川一誠知事も「日本一のブランド米として全国の消費者に高く評価されるように、JAや県民と協力しながら頑張っていきたい」と述べた。

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