お年寄りたちに振り込め詐欺被害の対処法を説明する嶋崎巡査(右)=福井県おおい町名田庄口坂本

 福井県おおい町の山間部にある小浜署坂本駐在所=同町名田庄口坂本=で、23歳の若手巡査が地域に溶け込んで奮闘している。毎朝のラジオ体操に参加して地元住民と交流。「孫のよう」と目を細めるお年寄りらに、振り込め詐欺や空き巣防止などを呼び掛けている。

 今年3月から常駐勤務しているのは嶋崎誠光(のぶみつ)巡査。高校卒業後に県警に入り福井署大手交番、嶺南機動隊を経て5年目で駐在所員となった。

 交流の場は口坂本地区の住民が毎朝午前8時から、奥名田郵便局の駐車場で行っているラジオ体操。嶋崎巡査は4月上旬から体操に参加するようになった。

 制服姿の嶋崎巡査と70〜80歳代の女性らが2列に並び、いつものように体を動かす。嶋崎巡査が「あー」と声を出して背伸びをすると、女性たちは身内の子を見守るようにほほ笑む。「○○さんはお休み?」「あの人はきょう出掛けてるで」。雑談を通して、住民の様子を確認する場にもなっている。

 体操が終わると、嶋崎巡査はキリッとした表情になり啓発教室が始まる。チラシを配り「怪しい電話がかかってきたら、番号を控えて僕に知らせて」と振り込め詐欺の被害防止を呼び掛けた。

 嶋崎巡査は「まだまだ経験が浅いので1人勤務の駐在所は不安だった」と振り返りつつ、「パトカーで巡回していると、住民から手を振ってくれるようになった」と照れくさそうに打ち明ける。最近では、住民が駐在所付近の草むしりを手伝ってくれるほど。

 体操に参加している森強子さん(80)は「普段から『戸締まりしてね』と声を掛けてくれる。自分の孫のよう」と目を細め、奥名田郵便局の西岡慎祐局長(44)は「気さくで、しっかり啓発してくれるのでありがたい」と話す。

 小学生の頃、近所の駐在所員が優しく接してくれて警察官に憧れたという嶋崎巡査。「近寄りがたいイメージをなくし、親しまれる駐在所員になりたい」と語った。

 同署管内にある他の駐在所員は30、40歳代が中心。若手が配属されるのは珍しく、23歳の駐在所員は県内でも最年少の一人だという。上司の黒田浩英副署長(51)は「駐在所員はいかに地域に密着できるかが大切。今後も、その基本を忘れず治安維持に努めてほしい」とエールを送っている。

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