【論説】命の危険に関わる厳しい暑さが続いている。気象庁や専門家からは当面続くとの見通しが出ている。注意しなければならないのが熱中症だ。家庭、学校、地域も連携し対策に万全を期してもらいたい。

 総務省消防庁の発表によると、熱中症のため今月9~15日の1週間に救急搬送された人が全国で9956人(速報値)に上った。前週(2~8日)の3・7倍となり、11府県で12人が死亡。18日には岐阜県多治見市などの最高気温が国内で5年ぶりに40度を超えた。

 県内でも福井市で17日まで3日連続で35度を上回る猛暑日が続くなど「酷暑」状態。17日にはおおい町で、草むしりをしていたとされる80代の女性が熱中症の疑いで亡くなった。福井新聞の調べでは熱中症疑いの救急搬送が先週末から急増している。

 気象庁によると、太平洋高気圧が勢力を強めているのに加えて、大陸のチベット高気圧が重なるように張り出しているため、雲ができにくく、さらには2層の高気圧からの下降気流が大気を圧迫していることも高温の一因という。7月下旬にかけて猛烈な暑さが続くと予想。8月末まで続くとみる専門家もいる。

 とりわけ、西日本豪雨の被災地では復旧作業を阻む要因にもなっている。被災者は無論、ボランティアや自衛隊員らに熱中症やその疑いがあると診断される人が相次いでいる。行方不明者を一刻も早く捜し出したい、泥出しや後片付けを急ぎたいと気持ちがはやるのだろうが、ここは十分な休憩を取るなど自らの体調管理を優先してほしい。

 おおい町で亡くなった女性のように、特にお年寄りは注意が必要だ。高齢期になると、のどの渇きを自覚しにくくなり、汗をかくことで体温を下げる調節機能がうまく働かなくなる。筋肉痛や吐き気、倦怠(けんたい)感といった症状が現れ、重症になると意識障害を起こし、死に至ることもある。

 屋外での作業はなるべく控えるのが賢明だろう。ただ、室内でも重症化するケースが後を絶たないとされる。エアコンを上手に使う、こまめに水分や塩分を補給する―など予防策を心がけたい。熱中症で亡くなる人の約8割が高齢者だけに家族や周囲も気を配ってもらいたい。1人暮らし高齢者の見守りも欠かせない。

 乳幼児はもちろん、児童、生徒も心配だ。17日には愛知県豊田市で小1男児が校外活動後に亡くなった。先生が付き添っていただけに、防げなかったことが悔やまれる。今週末には夏休みに入る所が多い。保護者には子らに注意を促してほしい。また、高校野球や高校総体などスポーツ大会も相次ぐ。十分な熱中症対策が求められる。

 高温、少雨状態が長引けば、農作物や家畜などへの悪影響が懸念される。水不足対策など管理の徹底を図ってもらいたい。

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