政務活動費の旅費について、福井県議会では鉄道料金は旅費規程に基づくグリーン車の算定額が支払われ、宿泊費も定額制と決められている。収支報告書に領収書を添付する必要がないため、グリーン車を使わなかったり、安いホテルに泊まったりすると差額を得ることもできる。全国市民オンブズマン連絡会議によると、こうした定額制は全国47都道府県議会の中でも少数という。

 福井県議会の場合、政務活動費で支払われる鉄道料金と宿泊費は、知事ら県特別職の給与、旅費に関する条例と施行規則(旅費規程)に基づく額となっている。鉄道料金はグリーン車の代金、宿泊費は東京、大阪、名古屋などの大都市の場合は1万5100円、それ以外の地域は1万3600円と定額制だ。支払証明書に▽使途▽費用▽政務活動費の充当額—などを記入すれば領収書は必要ない。ただ領収書を添付すれば、旅費規定額を上限に実費精算できる。

 2015年度の収支報告書によると、鉄道を利用した議員の大半はグリーン車料金を領収書のいらない支払証明書で申告していた。ちなみに福井—東京を東海道回りで往復するとグリーン車と普通指定席料金の差額は6300円。だが、支払証明書だけでは本当にどちらに乗車したのかを確認することはできない。

 宿泊費も領収書がいらないため、ホテルを使わなければ支給分を丸ごと浮かすことができる。議員の一人は「マニュアルに沿っており、後ろめたいことはない」と強調するが、領収書を添付しなかった理由については「不要とされているから」と言葉を濁す。

 旅行代理店やJR、ホテル発行の領収書を添付して実費精算している佐藤正雄議員(共産党)は「鉄道料金と宿泊費をグレーゾーンにしたままでは、その他の経費を1円単位まで情報公開しても、透明性確保の意味が半減してしまう」と指摘する。最大会派の県会自民党の中からも「県民に疑念を抱かれる恐れがある」として、マニュアル見直しを求める声が出始めた。

 全国では領収書添付の範囲を拡大する動きが広がっている。兵庫県議会は“号泣県議”として知られた野々村竜太郎元県議がうその日帰り出張を政務活動費で計上し、約913万円を詐取した14年の事件を受けて改革に着手。路線バスなど領収書が発行されない場合を除いて支払証明書を原則廃止し、実費精算だけに見直した。さらに、収支報告書と領収書のネット公開で使途をガラス張りにしている。

 兵庫県議会政務活動費調査等協議会事務局審査室の糟谷浩行室長は「政務活動費の適正執行と透明性確保は不断の取り組みが必要」としている。

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