上告断念を表明し「苦渋の選択」と述べる中嶌哲演さん(中央)。左は島田広弁護団長=7月17日、福井県福井市内

 福井県などの住民189人が関西電力大飯原発3、4号機(福井県おおい町)の運転差し止めを求めた訴訟で、上告断念により確定する住民側の敗訴判決は、各地の原発訴訟に影響を及ぼす可能性がある。最高裁の判例が示されることを避けるための戦術だが、住民側は厳しい状況に立たされたといえる。会見で「苦渋の選択」(原告団の中嶌哲演代表)との言葉が出たが、重視していた「本訴」での逆転敗訴のダメージは大きい。

【図解】福島原発事故後の主な原発裁判の判決・決定

 住民側が上告を諦める判断根拠に挙げたのは「最高裁の動向」。裁判官の研究会を開き「原子力規制委員会の審査結果を尊重すべき」というメッセージを発してきたと主張し、不信感を隠さない。

 中嶌さんは「控訴審裁判長の突然の交代など、人事権を使い露骨に裁判に介入してきた。原発訴訟について、今の最高裁にはもはや何も期待できない」と厳しく指摘した。

 福島第1原発の事故後、仮処分では福井地裁などで運転差し止めの決定が3件相次いだ。

 ただ、仮処分の審理は即効性を重視するため、調べられる証拠は少なめ。原発の専門的な証拠調べについて「仮処分の手続きにはなじまない。本訴訟で行われるべきだ」と指摘した仮処分決定もあり、「本訴」となる高裁金沢支部の判決は重い。住民側も「裁判所の姿勢がはっきりしてくる象徴的な裁判」と重要視していた。

 「一審福井地裁判決の意義を語り継ぎながら各地の反原発訴訟との連帯、集会・デモを続け、新たな提訴の可能性も含め全力で闘いを進めていく」。住民側はこう力を込めたが、今後の戦術はまだ見えていない。

関連記事
あわせて読みたい