敦賀名産「手すきおぼろ昆布」の原料となる道南産の真昆布。北海道の昆布全体の深刻な減産を受け、仕入れ値が高騰している=福井県敦賀市川崎町の昆布店

 北海道の海産物が今年、台風などの風水害で深刻な減産となっており、道南産の真昆布を使っている福井県敦賀市の名産「手すきおぼろ昆布」に影響が出ている。真昆布の仕入れの浜値が過去最高水準になっているといい、市内の問屋や加工業者からは「おぼろ昆布の製品も値上げせざるを得ないほど厳しい」と悲鳴が上がっている。

 敦賀は江戸期、北前船を通じて関西向けの昆布の集荷地となり、おぼろ昆布の手すき職人が集まって一大産地となった。

 福井県昆布商工業協同組合によると現在、手すき職人の数は120〜130人、生産量は全国の8割以上を占める。敦賀のおぼろ昆布の原料のほとんどは、函館近海の「白口浜」で採れる1年ものの養殖真昆布を使用しているという。

 北海道の魚や養殖物などの漁業生産量は今年、爆弾低気圧の影響や8月後半から相次いだ台風被害が追い打ちをかけ、過去最低の見通し。昆布は台風で天然ものの流失や干し場などの破損被害を受けた。今年の道全体の昆布生産量は当初1万6千トンを予定していたが、1万4千トン台と過去最悪の水準に落ち込む予測だ。

 同組合の美濃修二理事長によると、おぼろ昆布用の養殖真昆布の浜値はここ5、6年、高値で推移。10月末に決まった新昆布の浜値は昨年に比べ1割以上高騰し、過去最高水準になっているという。

 美濃理事長は「天然昆布が凶作で、代用として養殖昆布への買い付けが集中し、値が高騰している」と現状を指摘。仕入れ量はある程度確保できるとするが、おぼろ昆布需要期の冬場を迎え「(高値の)新昆布が入ったら、手加工の職人さんの収入を維持しなければならないし、製品の値上げをせざるを得ない状況だ」と顔をしかめる。

 市内の加工業者の担当者も「北海道の昆布全体が最悪の状況で、おぼろ昆布用の原料も物量が乏しく、仕入れ価格も高い。生産者の漁師の高齢化が進み、おぼろ昆布用に仕立てるより、手間暇かけずに売れる業者に流れる傾向もあって状況は悪い」と吐露する。

 敦賀向けの養殖真昆布を生産する南かやべ漁業協同組合(北海道)は「われわれも減産で困っているが、敦賀の加工業者さんも大変だろう。天然昆布が流失被害を受けて回復せず、来年もさらに厳しい」と話している。

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