福井市の事業見直し方針を受けた市民レベルの取り組みを話し合うメンバー=6月、福井県越前市八ツ杉森林学習センター

 今年2月の記録的な大雪による財政難で福井市が中止や縮減を余儀なくされた事業について、市民の力で“復活”させるイベントを、福井県内有志グループが8月11、12日、市中央公園で開く。学校プール開放、図書購入、敬老祝いといった見直し対象の事業を、できる範囲で補って提供する。イベント名は「できるフェス」。行政サービスの低下を嘆くだけでなく、市民が行動すれば実現できるという体験を、大勢の参加者と共有したい考えだ。

 国際協力機構(JICA)職員の高野翔さん(35)=福井市出身=の呼び掛けで集まったデザイナーや会社員、公務員ら約30人で実行委員会を結成。大雪による福井市の財政難は、人口減少が進んで税収不足となる将来の自治体の姿でもあるととらえ、市民が自立して豊かな暮らしをつくる機運に結びつけようと企画した。

 福井市が中止・縮減する方針を決めた本年度の約150事業から、アイデアと創造力で代替できる取り組みを抽出した。11日は、文化関連の事業縮減に対応した夜の野外映画祭で開幕。12日は、学校プール開放事業の中止が取りざたされたことを受け、家庭や企業の協力で持ち寄ったプールを並べるエリアを開設、子どもたちに開放する。敬老祝い金や祝い品の進呈事業に関しては、来場者がカメラマンに写真を撮ってもらい、感謝のメッセージを添えてプレゼントできるサービスを用意する。

 図書館や学校の書籍購入費の削減に対しては、来場者が本を持参すれば会場にあるお気に入りの一冊と交換できるブックフェアを開催。文化会館整備事業の先送りを受けた音楽ライブや、来年度は作成中止となった市勢要覧を来場者と手作りするなどの企画も検討している。見直し事業に対応して来場者に自分ができることをつづってもらうコーナーを設ける。

 実行委は市側にも企画を伝えており、市民協働・ボランティア推進課は「大雪でいろいろな事業が中止になった中、それを乗り越えようという動きが市民から出てきたのはありがたい」と受け止めている。

 開催までの期間は、趣旨に賛同する個人や団体の協力を受け入れながら、取り組みの輪をさらに広げていく。実行委代表の高野さんは「自治体の財政状況に関係なく、まちの一番大事な資源は市民の思いと行動。一人一人の小さな『できる』が水紋のように広がれば、彩り豊かな福井の未来をつくれる。そんな姿が日常になってほしい」としている。開催時間や追加企画などは「できるフェス」のフェイスブックページで随時発信する。

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