福井県立恐竜博物館(奥)から県道に合流する郡町交差点。市中心部へ向かう県外ナンバーの車は少ない=2016年5月、福井県勝山市郡町3丁目

 5月、連休中の福井県勝山市の郡町交差点。県立恐竜博物館を後にした車で渋滞する。信号が青に変わると県外ナンバーの車のほとんどは福井方面へ。勝山市街地に向かう車は福井ナンバーばかり。博物館が入館者1万人を突破した日もまちなかは閑散とし、博物館周辺とはあまりにも対照的な光景だ。

 「館内の飲食店は並ばないと食べられない。まちに、もっと飲食店があれば立ち寄るのに」。名古屋市から訪れた家族連れは不満を訴える。

 年間90万人超が訪れる県立恐竜博物館を抱える勝山市。白山平泉寺、スキージャム勝山、越前大仏など魅力的な観光資源を抱えながら観光客をまちなかで見ることは少ない。特に博物館の来場者には市内を「素通り」されている感は否めない。

 「まちなかへの観光客の誘導につながることを、観光まちづくり会社の重要な課題として取り組む」。今月1日、勝山商工会議所の荒井由泰会頭は6期目の就任会見でそう決意を述べた。

 市は、6月に同会議所、金融機関と立ち上げた観光まちづくり会社とともに観光事業に取り組む。かつて料亭として栄え、長年閉店していた市中心部の「花月楼」(本町2丁目)を「食と文化の拠点」として整備。恐竜博物館がある長尾山総合公園には物販施設を、2020年度には市街地西部に道の駅を開設するなど大型案件を抱える。

 「観光の産業化を図る」(荒井会頭)。かつて繊維産業でにぎわったまちから観光業へシフトさせる「産業の大転換」をもくろむ。

 来春の開館に向け、花月楼の改装工事のつち音が響き、重機が出入りする市の中心部。

 「何もしないより、やったほうがいい」と住民や商業者からは歓迎する声が聞こえる一方、「市の中心部には観光するような場所は少なく、観光客が来てもらっても…」と懐疑的な見方も交錯する。花月楼が生まれ変わるとしても、市街地が「面」としてどうにぎわいを取り戻すかは未知数だ。ただ、民間の力は不可欠となる。

 市民レベルでも観光客のもてなしへ機運が少しずつ高まっている。

 市内ではこの3年間で県、市補助を受け計13店舗の改修が進んだ。その多くが、まちなかの飲食店。市中心部で飲食店をリニューアルした50代店主は「ランチを始めたところ想像以上の集客があった。行政だけが動くのではなく、私たち民間でも呼び込みたい」。将来を見据えている。

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 任期満了に伴う勝山市長選は12年ぶりに選挙戦となることが確実となっており11月20日告示、27日に投開票される。市長選を前に市の課題を問う。

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