まちが変わるきっかけをつくろうと昨年7月から運営している「これからビル」=15日、福井市中央1丁目のガレリア元町商店街

 次のイベントの打ち合わせに熱が入るまちづくり団体、起業を見据えてアイデアを交わす若者グループ、会計講座を開いて他団体をサポートするNPO法人。異業種の人たちと空間をともにしながら原稿を書くのが日常になった。JR福井駅西口のガレリア元町商店街の「これからビル」で、コワーキングスペース「sankaku」の運営を始めてから1年余りがたつ。

 まちづくり企画班が活動を始めたのは2014年1月。停滞する福井市中心市街地をエリアに定め、変化のきっかけをつくろうと模索した。14年11月に商店街有志らと福井新聞社の共同出資でまちづくり会社「福井木守り舎」を設立。空きビルをリノベーションしてsankakuとカフェ「sumu」を運営することになり、企画班は「活動」から「事業」に踏み出した。

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 行政に依存しがちな中心市街地のまちづくりに、民間主導の動きで一石を投じたい—。これからビルは、そんな思いからつくった小さな「点」だ。並行して、変化を目指したさまざまな別の動きも起きていった。まちや暮らしに対する思いが重なり合っていくようで心強かった。

 「美のまちプロジェクト」は、駅西口の空き店舗に美容店舗を集め、大きなインパクトを与えた。発起人の竹本祐司さん(33)は、共同販促の手法をエリア全体へと広げる「エキマエモール」構想に着手。sankakuに拠点を構えながら、着々と新企画を打ち出している。

 昨年6月には福井市で初めてのリノベーションスクールが開かれた。受講者グループがまちを楽しむ拠点にしようと空きビルで「クマゴローカフェ」を開業。その後も周辺には、リノベーションによる出店が相次いだ。

 新しい「点」が集まり、まちの魅力が「面」として広がった。中央1丁目のビル1階の空き店舗率は、昨年2月の16・9%から、今年8月時点で11・6%と過去10年で最低水準にまで改善。今年6月の駅西口の歩行者通行量は、前年より68%増えた。再開発ビルのハピリン効果を差し引いても、将来が嘆かれていたかつての「エキマエ」は、確実に変化を遂げている。

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 sankakuで目指すのは、まちなかでさまざまな人たちが交わって、新しいモノ・コトが生まれる場。DIYイベントが大工と施主の出会いに結び付いたり、会員の教育ベンチャーとデザイナーが新事業で連携したり。訪れた人にとって、何か次のアクションへのきっかけになればと考えている。

 sankakuでは9月から、毎週月曜夜に週替わりのテーマで楽しむ座談会「HO−KAGO(ホーカゴ)」を始めた。ゆるい集まりを入り口にして、新しい利用者も増え始めた。事業収支の課題とも向き合いながら、sankakuを通じた人の循環を生み出していくことで、取り組みの継続性につなげていきたい。(細川善弘)

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