発掘し研究してきた貝の化石が新種と認定され、日本古生物学会に提出した論文を手に喜ぶ吉村太郎さん=15日、横浜市の慶応高

 発掘した貝の化石を新種とする福井大附属中出身の吉村太郎さん(慶応高3年)=横浜市=の論文が14日、日本古生物学会が出版する国際誌の編集委員会に受理され、この化石が新種と認定された。中学2年時に見つけてから約4年。論文執筆に励んできた吉村さんは「長期間の努力が実ってうれしい。お世話になった方に感謝したい」と話している。

 新種と認定されたのは、イタヤガイ科エゾキンチャク属の二枚貝。2012年、富山県高岡市に広がる275万年前ごろの地層から発掘した。吉村さんは同じ地層で見つけた化石や、北海道から取り寄せた同属のエゾキンチャクガイの殻の形状などと比較検証して集めた詳細なデータを基に、新種と結論付けた。15年1月には愛知県で開かれた学会の会合で研究成果を発表。現地で説明を聞いた研究者の勧めで論文を書き始めた。

 研究者や慶応高の教諭らの助言を受けながら、不足しているデータを加えるなどして英語で論文を執筆。今年4月中旬に学会に提出した。学会が年4回出版する英文学術雑誌「Paleontological Research(パレオントロジカル・リサーチ)」の編集委員会から依頼を受けた学者らが査読して内容を確かめ、数回の修正を経て11月14日付で受理された。今後、新種記載論文として同誌に掲載されるという。

 論文の執筆を勧め、指導にあたった学会評議員の天野和孝・上越教育大副学長(62)は「これまで高校生が学会誌で新種を発表したのは聞いたことがない」と話す。特に同じ種類とされてきた貝殻の形態を分析した点を評価。「研究者が調べていない部分に着目し、細かな数字で示している。着眼点が良い。高校生でも深い研究ができるという道筋を示した」とたたえた。

 吉村さんは14日夕、学会からのメールで朗報を知り「いろんな人にお世話になったので形として成果を残せてほっとしたが、先のことを考えると緊張感も感じた」と話す。「研究としては、ここからがスタート。気を引き締めて精進していきたい」。17歳の若き研究者は既に、今回の研究を応用した二枚貝の殻の形態分析に関する論文執筆に着手している。

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