石こうでとられた顔形を持つ山岡さん(中央)と金さん(左)、二葉さん(右)=12日、福井県高浜町の観自庵

 韓国出身で福井県高浜町のアーティスト金明姫(キムミョンヒ)さんが、国内外の被爆者やその家族ら100人の顔形をあしらった造形アート「ピースマスク」の制作に取り組んでいる。12日は、県原爆被害者団体協議会(県被団協)すいせん会の山岡直文会長=福井県大野市=の顔形を、県内在住者としては初めて石こうでとった。完成後はアートを通し、核兵器のない平和な世界を願う気持ちを伝えていく。

 ピースマスクは石こうを塗ってとった顔形に和紙を重ねて作る。人種を超えた平和を願う金さんが、東アジアを中心に制作し続けている。

 被爆者らを対象にしたピースマスクは、金さんが所属するNPO法人ピースマスクプロジェクト(京都市)=二葉眞弓理事長=が企画。昨年、戦後70年の節目を迎え、高齢化が進む被爆者たちの思いを後世に伝えようと、今年4月から金さんと二葉さんが中心となって制作を始めた。

 これまで広島や長崎、京都、韓国・陜川(ハプチョン)などで被爆者や被爆2〜4世の人たちの協力を得て88人の顔形をとった。仕上げには上質な越前和紙を使用。年内に100人分のマスクを仕上げ、来年から国内外での巡回展を計画している。

 この日は、広島市で被爆した母のおなかの中にいて胎内被爆者となった山岡さんが、高浜町の金さんの古民家アトリエ「観自庵(かんじあん)」を訪問。金さんと二葉さんによって顔形をとられた山岡さんは「すごい体験をした。アートは残るもの。口で伝えるよりもインパクトがあると思う」と興奮気味に語った。

 金さんは「核兵器反対に熱心な被爆者や韓国の貧しい2、3世ら、いろいろな人と会ってそれぞれの強い思いに触れてきた」と創作活動を振り返り、完成へ意欲を新たにしていた。

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