昭憲皇太后の小袿やパラソル(ともに手前)など貴重な服飾品を無酸素状態のフィルムケースに入れ保存する専門業者や大学の研究者=10日、福井県越前市清水頭町の毫摂寺

 文化学園大(東京)などは10日、福井県越前市清水頭町の毫摂寺(ごうしょうじ)で、昭憲皇太后(明治天皇の皇后)の装束など同寺が保有する明治、大正時代を中心とした貴重な服飾品を保存する作業を行った。無酸素状態のフィルムケースに封入する新技術で、長期間の保存が可能だという。文化的価値のある服飾品の保存は全国で課題となっており、研究者は「毫摂寺での保存がモデルケースになれば」としている。

 同寺は1233年に京都で創建された真宗出雲路派の本山。22代門主善慶上人の裏方(妻)は昭憲皇太后の姉に当たるなど、皇室とゆかりがある。小袿(こうちぎ)と呼ばれる皇太后の装束やパラソル、内親王の着物といった下賜品、24代門主の裏方が、大正天皇の即位式で五節舞(ごせちのまい)を披露した時の装束など貴重な服飾品を多数保有している。

 文化学園大は昨年度、文化庁が募集した補助事業の採択を受け、同寺などで文化的な価値のある服飾品の調査を実施。このうち同寺については、所有する39件の服飾品の保存まで同大が行うことになった。

 同大と専門技術を持つ都内の衣類メンテナンス会社「LAND LINK」が連携し、品物を専用のフィルムケースに入れ、窒素で満たすことで劣化を防ぐ方法を開発。この日は、薄い紙に1点ずつ包んでからフィルムケースに入れ、窒素を注入した。ケース内には虫食い、酸化、カビの原因となる酸素を分解する30年間分の薬剤が入っている。さらに長期の保存も可能で、定期的に酸素濃度をチェックしていくという。

 同寺の藤光真門主(51)は「貴重な装束の劣化が悩みだったので、大変ありがたい」と喜ぶ。同大の佐藤正明教授は、年月を経た服飾品の保存は難しく、同じ悩みを抱える寺社も多いとし「(包装の中は)いわば小さい収蔵庫。着物のような文化遺産が残る意義は大きい」としている。

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