授業を終え、越前武生方面の相互乗り入れ便に乗車する高校生ら=7日、福井市のえちぜん鉄道福大前西福井駅

 えちぜん鉄道三国芦原線と福井鉄道福武線の相互乗り入れについて福井県は7日、今春の運行開始から半年間の利用状況を発表した。直通区間の鷲塚針原(福井市)−越前武生(越前市)を移動した乗客数(福井市の田原町駅をまたいで利用した人)は約6万8300人で、田原町駅での乗り換えが必要だった昨年同期の約3倍。福井、鯖江、越前3市の南北移動が便利になり、新たな需要を掘り起こしている。

 ■リピーターに定着
 直通便は3月27日に運行開始。県が4月1日から9月30日まで半年間の利用状況を各種切符の販売枚数から計算した結果、片道、往復切符と回数券、定期券の「一般利用者」は約6万2900人で昨年同期の2・9倍だった。えち鉄と福鉄全区間を乗り放題で移動できる「共通1日フリー切符」の利用者は2・2倍の約5400人だった。月別でみても、毎月3倍弱で推移していた。

 県交通まちづくり課の猪嶋宏記課長は「運行開始当初、『一度試しに乗ってみよう』と興味を持ってくれたお客さんに直通便の快適さを実感してもらえたのが大きい。リピーターとして定着しつつあるのでは」と分析している。

 ■時間に余裕、生徒ら活用
 好調を下支えしているのは定期券利用の伸びだ。通学、通勤定期の累計有効枚数は775枚で昨年同期の2・9倍。このうち通学定期は4倍以上の581枚に達した。これまで田原町駅で降り、福井商高や啓新高に歩いて通っていた丹南方面の生徒の多くが学校近くの福大前西福井駅まで乗車するようになった。

 県によると、福大前西福井駅の4〜8月の利用者数は約14万9千人と、昨年同期比で約1万6千人増えている。鯖江市内から通学している啓新高3年の小嶋理恵さんと尾崎史佳さんは田原町駅までだった通学定期を、この春から福大前西福井駅までに切り替えた。2人は「田原町駅から学校まで歩くと20分ほどかかっていた。今は5分ほど。これから雪が積もるのでとても助かります」と話す。直通便の利用で生まれた15分ほどの時間はテスト勉強や読書などに有効活用しているという。

 通勤定期は1・5倍の194枚。直通便の運行をきっかけに、沿線のパークアンドライド駐車場にマイカーを止め、電車に乗り換えて会社に向かう人が増えている。

 ■日中の掘り起こし課題
 県と福井市、えち鉄、福鉄は毎月1回のペースで会議を開き、定時性確保やダイヤ見直し、車両の運用などの課題について話し合っている。

 「買い物や通院の利用が多い日中の便に乗客増の伸びしろがある」と語るのは、えち鉄の豊北景一社長。「福井市北部からベルや福井赤十字病院、丹南方面から福井総合クリニックへ快適に移動できることをもっとPRしていきたい」とする。福鉄の村田治夫社長も「直通便と路線バスの組み合わせで観光地をつなぐ小さな旅を商品として提案していきたい」としている。

関連記事