福井地検は8日、昨年7月の鯖江市議選で、同市に転入する前に転入届を提出したなどとして公職選挙法違反などの疑いで再捜査していた同市議福野葵氏(28)について、居住実態のない期間が短かったことなどを踏まえ、再び起訴猶予(不起訴)とした。福野氏は今年1月に起訴猶予処分となっていたが、福井検察審査会が4月、処分を不当と議決したことなどから地検が再捜査していた。

 福野氏の容疑は、市議選に絡む選挙人名簿の登録期限日だった昨年3月27日、同市に転入していないのに代理人を通じて転入届を提出。選挙人名簿に登録させ、期日前投票をした疑い。福野氏は3位で初当選した。

 地検の相馬博之次席検事は「検察審査会の議決内容などを踏まえて再捜査し、改めて検討したが起訴猶予が相当と判断した」とコメントした。

 この問題は、同選挙で落選した前市議が、福野氏の当選無効を求めて異議を申し出たのが発端。鯖江市選管は、調査の過程で容疑が分かったとして昨年9月、鯖江署へ告発した。福野氏は同12月、公選法違反などの疑いで書類送検された。

 福井地検は、居住を始めたのは同4月2日で、転入届が出された同3月27日からの居住実態のない期間が短いなどとして、今年1月12日に起訴猶予とした。その後、福井検察審査会が4月13日、職権で福井地検の処分を不当と議決。5月9日、公選法違反容疑に加え、電磁的公正証書原本不実記録、同供用容疑の告発状を、落選した前市議から受理し再捜査していた。

 処分を受け福野氏は「市民の皆さまにはお騒がせして申し訳ない。任期は全うしたい」としていた。鯖江市選管は「検察の判断は粛々と受け止めたい」とした。

 ■起訴猶予 不起訴処分の一つ。容疑のかけられた事実が明白で、証拠は十分だが、被疑者の性格や年齢、境遇、犯罪の軽重、情状(犯行の動機、容疑者の反省など)を考慮して起訴を必要としないと検察が判断した処分。不起訴には、犯罪が成立する証拠がない「嫌疑なし」、証拠が乏しい「嫌疑不十分」などもある。

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