笑いあり、涙ありのにぎやかなステージを繰り広げる岡田純平さん

 漫才、物まね、役者など多彩な芸で観衆を楽しませるお笑い芸人。テレビで見る顔ぶれだけが持つ称号ではない。福井県内にも多くの芸人が住み、お笑いライブをはじめラジオやテレビ、イベントに出演、地域の盛り上げに活躍している。「福井県民を笑わせたい。そしてもっともっと多くの人を笑顔に」と息巻く“ローカル芸人”たちを追った。

 ■貴重な体験

 「年のせいか、何時に寝ても朝5時に目が覚めてしまうヤギちゃんで〜す!」

 毎週月曜午後7時、鯖江市のコミュニティーFM「たんなん夢レディオ」から、芸歴27年のベテラン八木正幸さん(50)=同市=のハイテンションな声が響く。フリートークを中心に展開する番組「八木正幸のスリーミーなひととき」。2013年3月から続く生放送の冠番組だ。

 八木さんは東京の大学在学中にタレント養成学校に入り、お笑いコンビ「チェリーズ」を結成。現在の「さまぁ〜ず」や「くりぃむしちゅー」らと同じステージに立った。ブレークはならずコンビは解散したが、地道に芸能活動を続けてきた。

 家庭の事情で12年に福井に帰郷。サラリーマン生活を送る中、仕事の関係者らを通じ福井でも芸能活動の場があることを知り、福井市のタレント事務所に所属。ラジオDJのほかテレビのCMや行政の広報番組、イベントでのライブ、司会など変幻自在にこなしている。「福井にいながらプロとしてラジオやテレビで活動できるとは思っていなかった。芸人として貴重な体験をしている」と語る。

 ■方言を武器に

 福井商高3年のころにラジオDJデビューした古株、岡田純平さん(60)=福井市=は人呼んで“福井弁芸人”。軽妙なトーク、千昌夫の「味噌汁の歌」をアレンジした「おつけの歌」など福井弁を駆使した舞台は県内外から引っ張りだこ。スケジュール帳はびっしりと埋まり、多い日には祭り会場や福祉施設など4カ所をはしごする。

 「(出演料の)高いタレントを呼べなくても、お客さんを楽しませたい」と、イベントの企画運営業に就いていた33歳のときに自らステージに立ち始めた。ハイライトは人情劇「瞼(まぶた)の母」。生母と別れて継母に育てられた自らの境遇を重ね合わせた迫真の演技に、それまで大笑いしていた観客が涙をぬぐう。「口コミで各地に呼ばれ、喜んでくれる人のおかげで続けてこられた。福井弁を通じて、人や古里の温かみというか、忘れかけられている“何か”を伝えたいんや」と目を細める。

 ■ライブに出掛けよう

 八木さんによると、コンスタントに活動している県内のお笑い芸人はプロ・アマ合わせて約10組。吉本興業「福井県住みます芸人」のクレヨンいとうさん(永平寺町出身)と、飯めしあがれこにおさん(おおい町出身)は地域行事や観光PRで活躍。敦賀市の幼なじみ30代男性漫才コンビ「T2」はラジオで帯番組を持つ。老若男女にウケるネタが売りで、60〜70本のレパートリーを持つ実力派だ。

 ローカル芸人が一堂に集う催しもある。嶺北地域の約10人でつくる「オフィス笑・SHOW」の年1回のライブは11月12日午後7時半から、越前市の「演劇工房みちしるべ」で。旧今立町発祥のコンテスト「お笑いつるつるイッパイ‼」は毎年夏に開かれる。

 出演情報は芸人のブログやSNSなどからもチェックできる。八木さんは言う。「福井にいても“誰でも知っている人”になれるチャンスはある。ラジオはネットを通じてどこでも聞けるし、動画配信でも自身の笑いを全国に発信できる。郷土の芸人にぜひ親しんでもらいたい。福井の皆さん、応援してくださいね」

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