福井県の奨学金制度の2015年度末時点の滞納額が1億5125万円に上り、13年度末比で3420万円増えている。滞納人数は利用者の約3割に当たる496人。返済期間は10年間で、支払額が1カ月に3万円以上の人もおり、専門家からは「経済が右肩上がりの時代は終わっており、制度そのものを見直す必要がある」といった声も上がっている。

 制度は県内在住の保護者の子どもが対象。世帯の給与所得が700万円未満の高校生、大学生、大学院生に月額1万8千円〜11万7千円を無利子で貸与している。

 県教委高校教育課によると、15年度末時点で貸与を受けているのは現役学生を含めて1686人。このうち496人が滞納している。数年間支払っていない人もおり、滞納額は13年度末時点の1億1705万円から3割増えた。

 理由の一つとして、同課は08年秋のリーマン・ショックを挙げる。15年度に制度を利用し始めた人は132人だが、リーマン後の09年度は240人。このうち高校生は214人を占める。同課は「こうした人が返済時期に入り、返済する人自体が増えているため、滞納も増えている可能性がある」と指摘する。

 返済は卒業後半年から始まり、期間は10年間。例えば奨学金を利用して、公立高(自宅通学)から公立大(自宅外通学)に進学した場合の返済額は月に2万4600円。私立高(自宅通学)から私立大(自宅外通学)のケースでは3万3400円になる。

 原資となる県奨学育英基金の現金残高は15年度末で約3億6600万円。県監査委員の15年度の基金運用状況審査意見書では「貸付金返還金の収入未済額の増加に対し(中略)早期回収に努めるべき」と指摘されている。

 県は本年度から、返還指導員として嘱託職員1人を配置。同課の職員らが本人や連帯保証人の保護者らと面会し、返還を促している。

 ただ、制度そのものを疑問視する声も。奨学金問題対策全国会議の幹事、堺啓輔弁護士(44)=敦賀市=は「卒業して社会に出ても、安定した職に就けない人は多い。貸し付けによる奨学金制度の在り方を考える必要がある」と指摘している。

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