介護福祉士を目指し、実習に励むスレスタ・ガリマさん(左)=福井市高木中央3丁目の福井県医療福祉専門学校

 人手不足に悩む介護現場への外国人受け入れ拡大に向けた2法案が今国会で成立する見通しだ。成立すれば、介護福祉士の資格を持つ外国人が出身国に関わらず働けるようになる。福井県内では今春から、ネパール出身の留学生が福井市内の専門学校で学び始めた。県なども外国人従事者の増加を見据え、受け入れ態勢を整え始めている。

 ■実習より日本語

 「左手を動かしますね」。介護福祉士志望のスレスタ・ガリマさん(21)=ネパール出身=が、流ちょうな日本語で施設利用者役のクラスメートに話しかける。教員は日本語で「利用者が不快感を抱かないように動作の前は必ず声をかけて」と指導。スレスタさんは真剣な表情で耳を傾ける。

 高校卒業後の2014年、看護師を目指して来日。東京の日本語学校で2年間学び、同校の勧めで県医療福祉専門学校(福井市高木中央3丁目)に入学した。ネパールでは介護という職種はなく看護師の役割に含まれているという。「実習よりも日本語が難しい」とスレスタさん。入学から約1カ月は、教員が教材の全漢字にふりがなを打ち対応した。同校の教員は「介護はコミュニケーション力が最も重要。最初は少し心配だったが次第に力が付いてきた」と話す。

 ■人手足りない

 現在、介護分野で働ける外国人は、経済連携協定(EPA)を結んでいるフィリピン、インドネシア、ベトナムの3カ国出身者のみ。県内ではフィリピン出身の2人が敦賀市内の施設で勤務している。11月には新たに同国の女性2人が足羽福祉会「特別養護老人ホーム愛全園」(福井市)で働く。

 3カ国以外からの外国人留学生は、日本の専門学校などで学び介護福祉士の資格を得ても現状では介護職に就けない。介護現場で10年間働く福井市の女性(56)は「法定人数の職員がいても、入浴の介助などは利用者が同性の職員を望むケースがあり、人手が足りない」とし、「外国人受け入れ拡大で、少しでも解消につながれば」と法案成立に期待を寄せる。

 ■リーダー的存在に

 福井県は今春から、介護福祉士を目指す外国人留学生を支援する独自の「外国人介護福祉士確保促進事業」をスタートした。留学生の学費を全額免除する養成校に対し、年間60万円を限度に学費の半額を、留学生の学習支援として月3万円を限度に半額をそれぞれ支給する。同事業の第1号はスレスタさんだ。

 県によると、15年3月時点の福井県の介護職員は約1万5千人。年々増加傾向にあるものの、県長寿福祉課の担当者は「現場からは依然として不足していると聞く」と話し、同事業は国の動きをにらんだものだと説明する。ただ、留学生が介護職に就かなかったり、他県で就職したりする場合、学校側が支給額を返還しなければならず、課題も指摘されている。

 県内の養成校は県医療福祉専門学校と、若狭医療福祉専門学校(美浜町)、大原スポーツ医療保育福祉専門学校(福井市)の3校。県は、養成校に外国人留学生を誘致しようと関西の日本語学校に働き掛けを始めた。担当者は「スレスタさんには介護職を目指す外国人が本県に定着するためのリーダー的存在になってほしい」と話している。

関連記事