福井フェニックスロータリークラブが貸し出しているGPS発信器が、かかと部分に埋め込まれた靴

 行方不明者対策として注目されるのが、衛星利用測位システム(GPS)発信器だ。福井市の福井フェニックスロータリークラブ(RC)は昨年9月、縦3センチ、横4センチ、厚さ1センチほどのGPS発信器を認知症の20人に無料で2年間貸し出す試みを始めた。発信器を靴の底に埋め込むなどしスマートフォンなどで居場所を把握する。同RCの杉田尊会長(56)は「介護する家族の負担を少しでも軽減し、笑顔を取り戻してもらいたかった」と語る。

 夫が何度も行方不明になる福井市の妻は、発信器を借りた一人だ。夫は、孫が作ってくれた名札を毎日首から下げる習慣があり、発信器を入れた小袋を名札と一緒にぶら下げている。「これまでは警察や多くの人に協力してもらわなければならなかったが、GPSのおかげで家族らで見つけられることが増えた。気持ちが楽になった」

 早期発見につなげるため市の「事前登録」に申し込み、夫の名前や特徴、写真を市町や警察署などで共有してもらっている。夫の認知症を知られることに抵抗があったが、近所にも明らかにした。夫の居場所を連絡してくれることもあるという。

 福井市地域包括ケア推進課の岡田早苗さん(47)は「うちのばあちゃん、どこ行ったか知らんか? と近所などに気軽に言いやすい地域になることが望ましい」と話す。時間がたつほど発見が難しくなるため、警察にすぐ連絡することが大事とも。「認知症を隠したがる人も多いが、家族だけが頑張らないといけないというものではない。地域全体で見守ることが重要」と考えている。

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