福井フェニックスロータリークラブが貸し出しているGPS発信器が、かかと部分に埋め込まれた靴

 83歳の認知症の夫が行方不明になる。「突然いなくなったと思ったら、市外まで歩き続けて」。発見場所は福井県の鯖江市、坂井市、永平寺町、福井市…。探し回ったことは30回以上。「毎回どの方角に行くかも見当が付かない。家族だけではとても見つけられなかった」。息子夫婦と孫の5人暮らしの妻(79)=福井市=は、夫の行動を思い出し涙を浮かべた。

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 夫が初めて行方不明になったのは2015年2月。散歩から帰らず、家族で懸命に捜したが夜になっても見つからなかった。警察に届け出た。翌朝には地元の防犯隊も集まり捜索した。行方不明から20時間以上たって、約15キロ離れた鯖江市内で発見された。「そんなところまでどうやっていったのか」。夫に目的を尋ねても無言だった。

 昨夏には、約20キロ離れた坂井市坂井町のモデルハウスの前で「ここはおれの家だ」と言い張っていたところを発見された。行方不明から2日後だった。

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 県内では認知症による行方不明者が年々増えている。県警によると昨年は延べ122人で、統計を取り始めた12年の64人から倍増。県警は、認知症の症状や正しい声の掛け方を学ぶため2014年度から講座を実施している。全警察官・職員の95%が受講し「驚いて混乱させないよう後ろからは声を掛けない。相手に目線を合わせ、優しく話しかける」ことなどを学んだ。

 ひとたび行方不明者が出れば多くの警察官が動員される。認知症の人の行動は予測が難しい。嗅覚の優れた警察犬に頼るときもあり、出動は13年の10件から17年は38件に急増した。県警からは「警察だけで捜し出すことは困難。地域や市町、企業などとの連携がほしい」との声も上がる。

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