休校した西浦小・中の校舎を活用し、期間限定のカフェとして復活したランチルーム。窓からは観光客に人気の水島が一望できる=福井県敦賀市色

 今年7月、福井県敦賀市の水島を望む校舎のランチルームに久しぶりに笑い声がこだました。校舎は2015年3月までに相次ぎ休校した西浦小・中。「北陸のハワイ」と呼ばれる人気観光スポットのすぐそばの好立地を生かして、社会奉仕団体の嶺南ゾンタクラブが「カフェ」として開業した。

 10月23日までの土日限定で営業。市街地から車で約30分、車通りは普段少ないが、海水浴シーズン最盛期は多い日で30人以上が来店した。同クラブの松本律子会長(63)は「会員からこんな景色のいいところを使わないのはもったいないと提案された。お客さんに喜んでもらい、オープンして良かった」と予想を超えるにぎわいに喜ぶ。

 ただ、使っているのはランチルームと給食室など校舎の一部。3階建ての約2千平方メートルのうち、1割にも満たない。校区内に住む同クラブの秦廣子副会長(63)は「大きな校舎を、年間を通して使うのは難しい。カフェはまだ第一歩。臨海学校を開いて子どもに楽しんでもらうなど、少しずつ活動を広げていければ」と夢を語る。

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 同県若狭町にある休校中の岬小・三方中岬分校は3階建て校舎全体を大学の部活動などの合宿所として活用してもらう計画。今年3月から、福井工大環境情報学部デザイン学科の生徒と地域が一体となって、建物改修や受け入れに向けた準備を進める。

 合宿以外に、漁村の町として地元漁師らによる魚さばき体験などの講座開催も検討しており、町担当者は「学生と住民が交流して、若狭町の魅力に触れてもらえるのでは」と期待する。地元の西浦地域づくり協議会の前和之会長(52)も「若者が集まれば、地域が活気づく」と協力していく考えだ。整備費は町が負担。改修は、地元住民に愛着を持ってもらえるよう元の岬分校の雰囲気をできる限り残すことにしている。

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 「おいしそうや」「もう無理」。同県坂井市竹田農山村交流センター「ちくちくぼんぼん」に子どもたちの声が響く。同市明章小の5年生23人が体験学習の一環で訪れ、つかみ取りしたヤマメを包丁でさばいていた。串刺しにした魚はこの日の夕食だ。

 旧竹田小中校舎を活用した施設は、宿泊機能を備え7月に本格オープンした。ドラム缶風呂やカヌーなど体験プログラムは30以上。8月までの宿泊客は1500人、施設利用者は延べ6600人に上る。今年3月に建設コンサルタントの仕事を辞めて支配人になった大門正悟さん(52)は「もう一度子どもが集まる施設にしたい」と話す。

 運営は竹田地区住民でつくる竹田文化共栄会が担う。職員5人のうち4人は大門さんら地元住民で、2人はUターンした若者だ。提供する食事は地元女性グループが作るなど、施設は雇用の場としても広がりをみせている。

 同会の中川輝雄代表理事(69)は「多くの若者が働ける施設を目指したい。若者が定着すれば、学校はなくなっても、竹田は地域として生き残っていくはず」と力を込めた。

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