国の重要文化財に指定されることとなった旧大和田銀行本店本館=福井県敦賀市相生町

 国の文化審議会は21日、福井県敦賀市相生町の旧大和田銀行本店本館を重要文化財(建造物)に新規指定するよう松野博一文部科学相に答申した。食堂や集会室など市民のための公共的機能を兼ね備えていた点が特徴で、優れた意匠、歴史的価値が高く評価された。県教委によると、昭和の銀行建築で国重文に指定されるのは全国で初めて。

 旧大和田銀行本店本館は創業者の大和田荘七が建て、1927(昭和2)年に完成した。地上3階、地下1階の鉄骨れんが(一部鉄筋コンクリート)造りのモダンな洋風建築。77年まで銀行として利用されており、78年から市立歴史民俗資料館、93年からは市立博物館として使われている。2010年に県有形文化財に指定された。

 外観は、1階部分がギリシャやローマの建築を思わせる円柱と東洋風の半円アーチのひさしなど独特のデザインを組み合わせている。これに対し、2、3階は簡素な近代的ビルの様式になっている。

 内部は、銀行の業務スペースだった1階の窓口カウンターなどに大理石がふんだんに使われている。2階には壁布を張り、じゅうたんを敷いた豪華な内装の会議室などがあり、賓客の応接用とみられる。3階のステージを備えた集会場や地下1階の食堂は市民に開放されていたという。

 今回の指定範囲には建築当時の図面や暖房工事設計図、エレベーターも含まれている。県生涯学習・文化財課の担当者は「銀行だけにとどまらない複合的機能があり、他の地方には見られない建築。当時の敦賀は国際港として栄えていたが、洋風の建物が少なく、海外の人をもてなす場所が乏しかった。食堂などを市民に開放したのも地域貢献に熱心だった大和田荘七らしい」と説明している。

 今後官報公示を経て、正式に指定される。県内の重文指定は165件、うち建造物は27件になる。

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