福井県内の労働基準監督署に、労災保険給付の請求があったうち、精神疾患で自殺した人は2015年度までの10年間で18人に上ることが20日、分かった。関係者は「精神疾患は相談しにくく、一人で抱え込んで追い込まれた可能性がある」と指摘する。

 福井労働局によると、15年度の精神疾患の労災保険給付の請求件数は10件(自殺者1人)で、労災と認定し支給された件数は5件(同1人)。5件の労災の内容は「上司とのトラブル」(2件)「会社で起きた事件事故で責任を問われた」「ノルマの未達成」「配置転換」(各1件)となっている。

 15年度までの過去10年間をみると、請求件数は計70件で自殺者は18人。保険支給件数は32件で、自殺者は10人。

 ことし4月には関西電力の40代男性が自殺し、敦賀労基署が労災と認定。1カ月の残業は最大200時間に達することもあった。12年には、福井労基署が福井市内の会社に勤める10代男性の自殺を、パワーハラスメントが要因として労災認定している。

 厚生労働省によると、全国の15年度の労災保険支給件数のうち、時間外労働時間(1カ月平均)が20時間未満の自殺者は5人だが、160時間以上になると18人となっており、労働時間が長いほど自殺に追い込まれる危険性が高い。

 精神疾患などによる休職者の職場復帰を支援する福井市の福井障害者職業センターによると、職場復帰プログラムの利用者は06年度は8人、10年度は31人、15年度は61人と増加傾向にある。

 連合福井の労働相談担当者は「メンタル面の相談者には若い人もいる。仕事の悩みは同僚や家族には話しづらく、特に精神疾患は人に知られたくないという意識が強い。労働災害の可能性があっても、当事者が1人で抱え込んで追い込まれるケースも少なくないのではないか」と話している。

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