農業研究に関する連携協定に調印し、握手を交わす西川一誠福井県知事(右)と積水化学工業の久保肇氏=20日、福井県庁

 福井県と積水化学工業(本社大阪・東京)は20日、農業研究に関する連携協定を結んだ。生産コスト低減、省力化など農業の競争力強化が求められる中、再生可能エネルギーやICT(情報通信技術)を取り入れた新たな技術を、国の補助事業を活用しながら共同開発していく。

 積水化学工業が農業分野で自治体と連携協定を結ぶのは初めて。

 県は、具体的な共同研究の一つに「熱制御する低コスト・省エネハウス」を例示。保温性の高い園芸ハウス用ビニール、簡易で低価格な地中熱交換利用ハウスなどの実証試験を行い、作物の収量や品質を検証した上で、県内で大規模施設園芸の拡大につなげていく意向を示した。

 県内の大規模施設園芸は現在、電力支援制度のある嶺南を中心に7カ所で取り組まれており、さらに年度内に5カ所増えて計12カ所となる予定。ただ電力支援を受けられるのは8年間と決まっているため、支援終了後の対策が課題となっている。

 協定締結によって県の担当者は「光熱費のランニングコストが、電力支援を受けているときと同様の半額以下に抑えられるような共同開発をしていきたい」とし、「奥越など嶺北にも大規模施設園芸を広げていきたい」と述べた。積水化学工業は農業について「変革に合わせ、さまざまな需要が出てくる将来性の大きい分野」との認識を示し、県内の農業現場で製品力を磨き、全国展開につなげていく考えを示した。

 県と積水化学工業は、昨年から九頭竜川下流域国営パイプラインを利用し、水田の水管理労力を減らす「多機能型自動給水栓」の実証試験を行っている。7月からは県園芸研究センターで「地中熱利用システムによるキュウリの周年栽培技術」の確立にも取り組んでいる。これらを機に県が連携協定を提案し、今回の締結となった。

 県庁で西川知事と積水化学工業の久保肇・環境ライフラインカンパニープレジデントが、それぞれ協定書に署名。久保プレジデントは「低コストで収益性が高く、環境に優しい農業の推進に貢献していきたい」と話した。

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