シンさん(右)とともに来院者にヨガを指導する齊藤医師=福井市の福井赤十字病院

 呼吸法や運動、瞑想(めいそう)などを組み合わせ、心身の緊張をほぐすヨガ。福井赤十字病院(福井市)が、ストレスを抱えがちな化学療法中のがん患者や、漠然とした不調を訴える「不定愁訴」の患者らに、ヨガを取り入れた医療を行っている。患者の副交感神経を適度に刺激することで心身をリラックスさせ、自律神経のバランスを取る。医療現場では全国的にみても珍しいという。

 ヨガを取り入れた医療を行っているのは外来化学療法室(先進中央棟3階)で、齊藤素子非常勤医師が毎週火曜に担当している。齊藤医師は長く臨床外科医を務め、10年前にヨガを学んだ。現在はヨガを中心とした活動を進めており、同病院や兵庫、岐阜の医療機関に勤務。福井市内でヨガスタジオも開いている。

 齊藤医師はまず、患者の状態や悩みを聞く。不安や孤独感を抱えた患者は、苦痛を覚えたり不定愁訴を訴えたりすることが多い。それらの症状を緩和するために、呼吸を通して集中力を養うヨガによる方法を、実際に一緒に呼吸をしながら指導。体の動かし方や精神面での病気との向き合い方なども説く。

 「不安や孤独感は痛みをより感じる原因になり、意識がどこを向いているかで痛みの感じ方は変わる」と齊藤医師。病気や心配事に向きがちな意識を「今」「この瞬間」に向けることで安心感を得、心穏やかに治療に専念してもらう手助けをする。

 同病院では、毎週火曜の午後2〜3時に「おもいでなサロン」と題したヨガ講習会も開催。通院・入院患者やその家族、一般客など誰でも参加できる。11日はインド人ヨガ講師のニーラジ・シンさん(35)も訪れ、目をつぶり、座ったまま手足を上下したり首を動かしたりするヨガを教えた。参加した福井市の男性(77)は「足の突っ張りや肩こりが気になっていたが楽になった。気持ちも晴れた気がする」と話していた。

 齊藤医師は「呼吸法や運動だけがヨガではない。適切な食事や自分自身との対話、睡眠などを通して心身を整えていくもの。今後も診療の中で生かしたい」と話している。11月から来年3月までは不在となる。

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