南川に隣接して建つ雲浜小校舎。雲浜地区を分断する学校統合計画は白紙に戻った=福井県小浜市川崎2丁目

福井県小浜市の小浜小と雲浜小

 福井県小浜市の12地区の中で最多の世帯数約2200戸を抱える雲浜地区。地区内には北、南の両河川が流れ、小浜湾に接する。2004年、この地区を揺るがす提案がなされた。「雲浜小は北川・南川を境に、北エリアを北部小(仮称)、南エリアを西部小(仮称)に統合する」

 学識経験者らでつくる「教育施設等研究委員会」は同年、市内の12小学校を4校にまとめる案を市教育委員会に答申した。小浜小の移転新築に向けた設計が進む中、市教育委員会は開校時に「適正規模の学校」にするため、新小浜小の校舎を使い加斗小と雲浜小の一部を統合して西部小にし、北部小は内外海小、西津小と雲浜小の一部で構成する内容だった。

 市教育委員会は05年から3年間、雲浜地区に出向いて説明を重ねたものの、住民が首を縦に振ることはなかった。「地区を二分することは認められない」。結局、統合することなく新小浜小は開校した。

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 議論は09年度に再開したが平行線をたどった。空白期間を経て13年2月、市教育委員会は雲浜地区区長会に対し「地域としての考えをまとめてほしい」と要望した。13年度から担当者として関わってきた市教育総務課の谷義幸課長は「地区に学校があれば、子どもが残り活性化する。子どもを中心とした地域のコミュニティーの場がなくなることが、住民にとって一番の課題だった」と振り返る。

 地区住民らでつくる「雲浜小統合問題に関する地区のあり方検討会」が13年秋に発足。岡本英司会長は「地区は割りたくない。なぜ雲浜地区だけ二分しなければいけないのか」との思いが強かったという。初回の会合で市教委担当者を前に「市は市内12地区の再編をすればいい」と言い切った。出席者からも「雲浜という名称がなくなることには反対」などと疑問を呈する意見が相次いだ。

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 実は伏線があった。08年4月に開校した新小浜小は小浜地区と雲浜地区の境に建設された。これに伴い、雲浜地区内の同校に近い地域に住む子どもたちが新小浜小に転校していった。岡本会長は「運動会や祭り、子ども会など地域の活動に支障が出てきた」と指摘。「住んでいる地区の学校に行くことが、子どもたちにとってはいいのではないか」

 市教育委員会は14年10月から、雲浜地区内の18ある区ごとに住民説明会を開き、声を吸い上げていった。同12月の検討会で出席者から「統合するなら地区全体で。地区愛がないと子どもたちも崩れていく」との声が上がった。

 会合の中で、森下博教育長は「今の段階で雲浜地区を二分するのは無理だと思う。当面、雲浜小はそのままで」と計画を棚上げした。計画表明から10年がたっていた。市教育委員会は19年4月に東部小と位置づける「小浜美郷(みさと)小」が開校した後、小学校の再編について再検討する方針を示している。

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