高度プロフェッショナル制度は労働者の働き方をどう変えるのか=福井県福井市内

 生保会社の福井県内支店に勤める営業職の40代男性。現在は部下を管理する立場になったが、以前は顧客のライフプランに応じた商品を提案し、契約を取るのが仕事だった。相手の都合に合わせ、夜間や休日に訪問するケースも珍しくなかったが、残業はつかなかった。同社では、この職種の社員は働いた時間ではなく、成績に連動した給与が支払われ、年に数千万円を稼ぐことも可能という。

 働き方改革関連法で創設された「高度プロフェッショナル制度(高プロ)」は、「働いた時間と成果の関連性が高くない仕事」の従事者に、多様で柔軟な働き方をしてもらう狙いだ。男性は自身が高プロに該当することはないとみているが、制度自体は肯定的に捉える。「仕事の成果に自信があり、自己管理ができる人なら、労働時間規制の対象から外れる方が気は楽だ。自由な働き方で時代にマッチしているのでは」

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 「新製品開発に関わる研究職の社員が高プロに該当する可能性がある」と話すのは、県内の製造業の取締役。働き方改革関連法は今後に詳細が決まる部分も多く、高プロの対象となる業種もその一つ。施行に向けて「制度の勉強を進め、社員が該当することになれば対応していく必要がある」と備える。

 この取締役は「新製品のアイデアは時間をかければ出てくるわけではない。成果で評価する方が理にかなっている面はある」と高プロに一定の理解を示す。

 一方、一貫して反対の立場を取るのが労働組合だ。約4万人の組合員がいる連合福井の横山龍寛会長は「働く者は一日8時間労働という法に守られている。高プロはこれを取っ払う制度で、残業が無制限に増えて過労死を招く」と懸念を示す。「フレックスタイム制や裁量労働制で十分にカバーできる」と主張した。

 さらに今後について「対象業務が拡大したり、年収要件が引き下げられたりする可能性がある。定額で『働かせ放題』の状況になる」と危機感を表した。

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 高プロは年収1075万円以上という条件を想定しており、企業の人事管理が専門の飛田正之・県立大経済学部准教授は「そもそも県内の対象者は極めて限定的だろう」とみる。それでも自社に該当者が出た場合、「年間104日の休日をきちんと取れているのか、などをチェックする機能が求められ、企業は新たな負担が増える」と述べた。

 県経営者協会の峠岡伸行専務理事は「世界の企業と勝負していくためには、高プロのような働き方も必要」との考えだが、一方で「労働時間でなく、成果で労働者を評価するシステムが未成熟な日本の企業での導入は時期尚早」と語る。高プロが定着するには「時間で働くという意識が強い日本の労働者の意識改革も求められる」と強調した。

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