◆<龍宮城>と<鬼が島>

<龍宮城とは>

 7月を迎え毎日蒸し暑く、誰もが体の置き所がないという過ごしにくい天気が続いております。大雨注意報も出て、近くの狐川も心配で見に行くと、河原にあふれ出ている状態でしたが、無事雨も止んでくれたようでホッとしております。

 夏と言えばこのコラムを書かせていただいておりますとつい‘龍宮城’という言葉が浮かんできます。私の蔵書で、ずっと以前に読んだ本に“<龍宮城>とは、雄島、雌島の間をいう”というようなことが書かれていて‘えっ! そんなこと本当に 本当 ?’とつい思わずにはいられないことでしたので、ずっと記憶に残って気にかかっていたのです。

 本の題名や著者名までは、はっきりとは記憶していなかったのですが、書かれた著者のおおよその見当は付きますので探し出せる本だと思っていたのです。

 鯖江で行われている「自然栽培塾」に敦賀から参加されている方で、敦賀城主・大谷吉継の大ファンで歴史に大変関心の深い歴女の方がおられます。その方は日本の古伝承を多く載せているという『ホツマツタエ』もよくご存じで、その本には地元の敦賀や、気比神宮など福井の実際の地名も出てきているといわれるのです。

 そこで今回、そのことを新たに確認する意味もあって、長らく読んでいなかった『ホツマ』に関する本を寺の私の本棚から探し出して持ってきました。

 『ホツマツタエ』についての解説書としてその多くは「鳥居礼氏」によって書かれているものです。どういういきさつだったからは記憶に全くないのですが、鳥居氏とは以前に福井の竜(オロチ)に関する伝説のお問い合わせがあり、手持ちの福井に伝わる伝説の本を幾冊かお送りしたことがあるのです。

 本をお返しくださったときでしょうか“福井はお話の宝庫ですね”と言われたことを記憶しているのです。その鳥居氏が書かれた本が10冊ほどありました。鳥居氏はやまと絵の作家でおられますので、そのカバーや扉絵のほぼすべてが鳥居氏の絵なのです。(註)鳥居氏からお手紙をいただいていることは記憶しておりましたので、ついでに今回その手紙のことも思い出して捜してみました。

 毛筆で宛名書きが書かれた封筒の中は空でしたが(中身はいつかまた出てくることでしょう)、別の大きな封筒には「鳥居礼作品集 一」として鳥居氏の描かれた十何枚かの絵や何度かの作品展のご案内もいただいていたようできちんと保管されていました。送って下さった絵に添えられていた文章だったのでしょうか、次のような思いのごあいさつ文も出てきました。

 ――昔、伝統的な絵画に接した時、ふと私たちが忘れていたものに気づきました。それらの作品から感じたものは、創造性や個性といった、近代美術の価値観とは全く別の、清らかさ、安らぎ、あるいは健全さなどでした。見る者の心を落ちつかせ、情緒に潤いを与えてくれるような日本古来の絵を描きたい、その時私はそう思ったのです。・・・・・1991年6月10日  鳥居礼――と記されてありました。(鳥居氏は武蔵野美術大学を卒業されておられます)

 また作品展のご案内に同封されていたのでしょうか、「『常世の国』購読会員の皆様へ」というお知らせも出てきました。

 そうです。2か月かに1回送られてきていた『常世の国』を購読させていただいていたのでした。ここ近年すっかり忘れていた『常世の国』の綴りを早速探し出してみました。創刊号から購読させていただいておりました。また折を見て読み直してみたいと思います。こうしたことから鳥居氏とのつながりがあったのだと思います。

 そのなかに、やはり鳥居氏のやまと絵でカバーされているため鳥居氏の本だと勘違いして持って来ていた「菅田正昭氏」の本も混じっていました。鳥居氏の本だと思って読み始めて、はじめて<龍宮城>のことが書かれていたのはまさにその本であったと気付いたのです。それで、まずはその本『言霊の宇宙(あま)へ  菅田正昭 著』(たま出版1998年出版)から‘龍宮城についての記憶の確認のため’読み直してみることにしました。

 菅田正昭氏は、業界紙記者を経て、昭和46年から八丈島のさらに南方約70キロの洋上に浮かぶ孤島・青ヶ島に役場職員として赴任されて民俗学の研究に従事されていた方で、この小さな島を一歩も出ない人でも島のことを熟知している人には、宇宙にも通じていたという内容のことをずっと以前にこのコラムでも書かせていただいているようにおもいます。

 その本に書かれている内容の多くをここでは詳しくご紹介は出来ませんが、簡単に要点をお伝えしたいとおもいます。

 八丈島流人の近藤富蔵の記した『八丈記』によると八丈島は雌島で、青ヶ島はオウシマ・大島・雄島→奥の島・沖ノ島・神の島だといい、‘シマ’とは祖霊が鎮まる聖なる場所だと書かれているのです。そしてそれは常世や、ウチナー(沖縄)のニライカナイの世界へと結びついていくのだというのです。こうした島は全国に71ヵ所の大島があるがそのうち31ヵ所は無人島同然の小さな島だという。常世とは、日本人の<たましひ>の原郷(ふるさと)のことであるといい、それは、海上のはるか彼方に実在し、時じくの木の実が年がら年じゅう稔っている、理想郷なのだという。

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