合奏の練習をする生徒たち。9人の部員が楽器を持ち替えながら演奏している=10月4日、福井県南越前町の今庄中

 放課後の音楽室にトランペットやフルートの軽やかな音が響く。福井県南越前町の今庄中の吹奏楽部の9人は、それぞれ2、3種類の楽器を練習している。現在取り組んでいる曲では14種類の楽器を使うため、合奏中に打楽器と木管楽器を持ち替えるなどして人数不足を補っている。

 部員の一人は「音量は小さいけど、人数が少ない分、団結している」と胸を張る。ただ「他校の吹奏楽部は30人ほど。大人数なら楽器がいっぱいあって、きれいな和音になるのに」といった声もある。

 全校生徒は108人。来年から息子が同校に通う橋本慶子さん(37)=福井県南越前町=は、子どもの交友関係が広がるよう、2人の子どもを同町南条小と越前市武生西小のスポーツ少年団にそれぞれ通わせている。「小規模校は教育が手厚い。でも小さいコミュニティーに慣れると高校に進学したときの人間関係が心配」。送迎は大変だが「友達が増えて良かった」と話す。

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 南越前町教委は本年度、町内4小学校、3中学校の再編に関する検討委員会を立ち上げる。同町では、2005年に742人いた児童が今年525人に、生徒は421人から312人に減った(ともに4月1日現在)。津田尚弘教育長は「現状を踏まえ、再編が必要かどうかも含めて今後の在り方を考える必要がある」と検討委設置の理由を説明。「勉学を主軸に、部活動や通学距離、地域への影響も考えて慎重に検討したい」と話す。

 町内の小中学校で最も児童生徒数が少ない河野中は全校生35人で、部活動は野球部と女子バレーボール部の二つのみ。昨年は3年生の引退後、野球部員が足りず、他校の部員を借りて大会に出た。

 少子化による部員減少を背景に県中体連は昨年度、複数校合同チーム編成規程を改訂。これまで認めていた2校でのチーム編成に加え、特例として3校以上でも出場を可能にした。同連盟の山田裕樹理事長は「学校再編があれば、部員の出場機会が減らないように、地区大会の在り方や県大会の出場枠についても考えていく必要がある」と話す。

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 部活動には制約があるものの、地域の特色を生かした教育が小規模校の魅力でもある。海沿いの河野小、中では、だしじゃこ作りやへしこ作りが恒例行事。2年前、河野漁港に全長約6・8メートル、約3トンのクジラが揚がったときは、児童が漁港へ向かい解体の様子を見学した。

 当時子どもが河野小に通っていた30代の父親は「子どもは目を輝かせながらクジラのことを話してくれた」と振り返り「郷土愛を育むためにも地域に根ざした教育をしてほしい」と小学校の統合には反対する。ただ、中学校の統合には賛成だ。「中学、高校は社会に出る準備期間。多くの人と出会い、いろいろな考え方があることを知ってほしい。文化部を含めて幅広い選択肢を与えたい」と、複雑な胸中を打ち明ける。

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