開幕に先立ち開かれた内覧会で、熱心に仏像を観賞する来館者=13日、福井市立郷土歴史博物館

 泰澄大師が白山を開山して来年で1300年となるのを記念した福井市立郷土歴史博物館の秋季特別展「福井の仏像—白山を仰ぐ人々と仏たち」(福井新聞社共催)が14日、開幕する。白山信仰が盛んだった嶺北地方で造られ、戦乱や廃仏の危機を乗り越えて地域で護持されている古仏34体を展示する。13日には内覧会が開かれ、仏像を貸し出した寺社や地域の関係者らが貴重な仏像と人々の信仰の歴史に触れた。

 白山は養老元(717)年に泰澄大師が開山したとされ、しだいに仏が住まう浄土と考えられるようになる。白山を望む福井平野と周辺の里山には多くの密教寺院が開かれ、仏像が本尊として安置された。南北朝時代や戦国時代の戦乱、一向一揆などで寺院は焼失。仏像は寺院を離れ、地域の人々によってお堂や神社で護持されるようになり、今も信仰のよりどころとなっている。

 会場には平安時代(9〜12世紀)を中心に、鎌倉時代(13世紀)までの仏像が並ぶ。目を引くのは、3年がかりの修復を終え、会場中央にまんだら状に配された5体からなる福井市・滝波五智如来堂の「五智如来坐像(ざぞう)」(県指定文化財、11、12世紀)。荒く素朴な彫りで表情豊か。長年表面を覆っていた紙張りなどを展示し、修復の過程も紹介している。

 越前町・八坂神社の「菩薩形(ぼさつぎょう)坐像」(12世紀、重要文化財)は、1963年に社殿を改修した際、床下からばらされた状態で発見された。平安後期に流行した曲線を多用した優美な作風「定朝様(じょうちょうよう)」の影響がみられるが、頭頂部や肘から先が失われており、受難の歴史を物語る。

 越前市・大滝神宮堂の嶺北最古の仏像「虚空蔵(こくうぞう)菩薩坐像」(県指定文化財、9世紀)や、17年に一度開帳される福井市・法承寺の秘仏「聖観音立像」(11世紀、市指定文化財)なども展示。内覧会に訪れた人は藤川明宏学芸員の解説で、一体一体食い入るように観賞していた。

 11月23日まで。観覧料は一般600円、高校・大学生500円。中学生以下、70歳以上は無料。問い合わせは福井市立郷土歴史博物館=電話0776(21)0489。

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