エコー検査に臨む記者(奥)。実際は薄暗い中で上半身の衣類を脱いで受ける=福井県済生会病院

 10月は乳がんの撲滅を目指す「ピンクリボン月間」。ことし6月にはフリーアナウンサーの小林麻央さん(34)が闘病中と公表し、多くの人が衝撃を受けた。乳がんは女性の12人に1人がかかるとされている。国の指針では40代からの検診を勧めているが、30代はどうなのだろう。4カ月前に授乳を終えたばかりの福井新聞記者(31)が、実際に検診を体験しながら医師に話を聞いた。

 ■乳腺で見つかりにくい

 国が40代以上に推奨するのは、乳房のエックス線検査(マンモグラフィー)だ。では私も…と予約の電話を入れたところ、福井県済生会病院(福井市)の担当者から「30代は母乳を作る組織『乳腺』が発達していることから、超音波(エコー)検査の方ががんを見つけやすい」との説明があり、そちらを受診することになった。

 同病院外科部長で女性診療センター長の笠原善郎医師によると、マンモグラフィーでは乳腺もがん細胞も白く映るため、乳腺が多い若い世代では「雪原で白ウサギを探すようなもの」。エコー検査では乳腺が白く、がん細胞が黒く映るため見つけやすい。また、授乳中でも受けられる。

 ■痛くない

 同病院の健診センターの女性専用スペース。検査着に着替えて部屋に入ると、「上半身の衣類を脱いで横になって」と女性の放射線技師に案内された。検査とはいえ人前で服を脱ぐのは抵抗があったが、薄暗い照明のおかげで恥ずかしさが軽減された。

 片腕を上げて乳房にゼリーを塗り、専用の機械で調べてもらう。マンモグラフィーは乳房を検査器具に挟むため痛むことがあるというが、エコーは全く痛くなかった。技師は「この検査で見逃すと、医師にも情報が伝わらないので気を張ります」と真剣な表情。上下左右、正面、脇と6枚ずつ計12枚のエコー写真を撮って終了。所要時間は左右両方で5分ほどだった。

 続いて笠原医師が写真をチェックし、触診。国は本年度から触診を推奨対象から外したが、マンモグラフィーなどと併用することで発見率を上げることができる。

 ■早期発見で生存率高

 笠原医師は「乳がんは発見後の10年生存率が80・4%」とし、「早く見つければ見つけるほど生存率が高い」と話す。同病院での30代以下での検診数は、小林さんの公表以降、大きく増えた。

 ただし、先述のようにマンモグラフィーでは見つけにくいほか、エコー検査の有効性は現在研究中でデータは少ない。また▽手術の必要が無い“悪さをしない乳がん”まで見つけてしまう(過剰診断)▽がんではないのに検査に引っかかり、不要な心配や出費をする−などの不利益があるという。笠原医師は「30代以下での罹患率は7・1%と低く、小林さんはレアケース。不利益についてもよく考えてほしい」とも語る。

 ただし、親族が乳がんになった人は発症の可能性が高いため、こまめなチェックが必要。特に、母親や姉妹が40歳未満で発症した「若年性乳がん」、左右両方にがんができる「両側乳がん」、ほかの臓器に同時にがんができる「他臓器重複がん」だった場合は要注意だそうだ。

 「必要以上に怖がらなくてもいいが、不安だったら検診を受けて」と笠原医師は助言する。10日後に異常なしとの結果が郵送で届き、私自身はほっとした。料金はエコー検査と視触診で7560円だった。

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