新郷小の思い出を書き込んだ横断幕を手にする体育祭に参加した児童や新郷体協関係者ら=9月19日、福井県あわら市の同校

福井県あわら市の小学校再編

 「いってきま〜す」。3人のきょうだいが2台の車に分乗し、市内の二つの小学校に登校していく。福井県あわら市北本堂の篠崎由妃さん(40)の長男太歌君(1年)は今春入学した本荘小へ、長女友歌さん(4年)と次女月歌さん(3年)は新郷小へ。新郷小が来年度、本荘小に統合されるため、新郷地区の1年生が前倒しで本荘小へ入学することで生じた珍しい通学の形だ。

 「保護者会や運動会など行事が2倍で大変」と篠崎さん。統合後に運行されるスクールバスの停留所がどこになるのかといった不安はある。だが両校児童は2003年に新郷、本荘両地区の幼稚園が統合した本荘幼児園(現在の本荘こども園)に通った幼なじみで、保護者の交流は今も続いている。昨年度から両校の交流学習もあり「統合への抵抗はない」と打ち明ける。

 新郷小は2〜6年生計32人で、一部は複式学級。友歌さんは「大勢のクラスになると授業で発表する時に緊張するかもしれないけど、こども園のときの友達と遊べる」と統合を楽しみにしている。

 野村等新郷小校長は「統合で児童同士のつながりが増え、新たな考え方が生まれるのでは」と期待を寄せる。

  ■  ■  ■

 複式学級の解消を目的に、あわら市教委は13年に市内小学校の統合方針を示した。14年度には対象の新郷、本荘、波松、北潟、吉崎、細呂木各校区のPTAや区長などを対象にそれぞれ説明会を開催。「地域全体で子どもの教育環境を検討してほしい」と伝え、休校対象地区に検討委員会の設置を求めた。住民からは「過疎に拍車が掛かる」「市全体で見直すべき」といった反対の声もあったが、同年度には波松地区が検討委を設置、吉崎、新郷地区も続いた。スクールバス停留所の位置、制服や体操服を新たに作るかなどを話し合う統合準備委もつくった。そして本年度、波松が北潟に、吉崎が細呂木に統合された。

  ■  ■  ■

 新郷小と新郷地区の合同体育祭が9月19日、同校で開かれた。休校に伴い合同体育祭はこれで最後。児童や住民をはじめ市外の卒業生も駆けつけ総勢250人以上でにぎわった。同校とPTAが用意した横断幕には、参加者が次々と学びやでの思い出を書き込んだ。小学校が地域の絆を強めるため果たしてきた役割の大きさを表しているようだ。

 「小さい地区でも小学校を存続してほしいという声もあったが、教育活動の充実を優先すると統合はやむを得ない」と話すのは、新郷地区区長会長の森川浩一さん(61)。統合後も本荘地区と連携した催しを通じて交流を深めたいと考えている。「本荘小へ行っても新郷の子どもは新郷で見守り続けたい」との思いがある。

 新郷体協は、地域の魅力を再発見するクイズ形式のウオークラリーを来年3月に行う予定。白石康紀会長(50)は「学校は変わっても、子どもたちには新郷の子だという誇りを持ってほしい」と語る。地域の誇りをどのように子どもに伝えていくのか。本年度までの学校が地域に“宿題”を残していく。

  ×  ×  ×

 この連載「学校のあした〜福井・揺れる地域」の感想、意見を募集しています。福井新聞社編集局社会部=電話0776(57)5110、FAX0776(57)5145、メールはhoudou@fukuishimbun.co.jp

関連記事
あわせて読みたい