福井県の9月補正予算案の修正案を可決した本会議=11日、福井県議会

 11日の福井県議会本会議では、先の予算決算特別委員会で最大会派の県会自民党が議論を主導し削除された水月湖の年縞(ねんこう)研究展示施設の9月補正予算案が、一転復活するという前代未聞の事態になった。最大会派の分かりにくい議論の進め方に、他会派からは「県民不在の密室政治」「県民生活に直結する予算案を、数の力でもてあそぶのは問題だ」との厳しい声が聞かれた。

 午前11時ごろ、県会自民党の斉藤新緑会長らが、西川一誠知事のいる県民サービス室から出てきた。午後からの本会議を前に理事者と県会自民党との調整は最終局面を迎えていた。

 本会議では知事が、減額修正された補正予算案の再検討を求め、予算決算特別委での再審議へ。年縞研究展示施設の補正予算案削除は、条件付きで執行を認める付帯決議に替わった。

 6日の予算決算特別委が終了してから、知事や県幹部と県会自民党幹部は、水面下で何度も接触していた。修正案が本会議で可決された場合、知事は地方自治法の規定に基づき10日以内に再議(審議のやり直し)を求めることができるが、「それこそ全面戦争になる」とベテラン議員の一人。年縞研究展示施設の補正予算案だけを付帯決議付きにする“痛み分け”で決着した。

 県会自民党幹部は、この連休中に若狭町の年縞研究展示施設建設予定地を視察。「最終日の前に現地の状況をしっかり把握する必要がある」(幹部の一人)ためだったという。本会議終了後、記者団の取材に応じた斉藤会長は「地元で準備作業が進んでいることが分かった。責任会派として修正したものを再修正するのは格好悪いが、現実対応した」と説明した。

 一方、他会派の見方は冷ややかだ。

 「年縞研究展示施設は既に動いている事業。地元からすれば、これまで認めてきたのに『何を今更』となる」と語るのは、8月末の自民会派分裂で第2会派となった自民党県政会幹部。「現地視察も言い訳がましい。批判を恐れ、落としどころを探ったのだろう」と切り捨てる。

 県会自民党の内部からさえ「この数日間で付帯決議に急きょ変わった理由が分からない。公の場でオープンな議論をすべき。これでは県民に説明責任が果たせない」との声が漏れた。

 共産党の佐藤正雄議員は「常任委で了承された事業なのに、県会自民党によって予算決算特別委で削除され、また復活した。議論の進め方としてどうなのか」と指摘。「県民の不利益になることはない案件をやり玉に挙げて筋が悪い。彼らの主張は他会派に浸透しなかったし、県民からも褒め言葉どころか『一体何をしているのか』としか言われなかった」と顔をしかめた。

 県議会第3会派の民進・みらいの糀谷好晃会長は「一方的に理事者を責め立てるのはどうか。わが会派では、予算案や議案を政争の具にするのではなく、現場主義を徹底した上で事業の良しあしを是々非々で判断していくことを確認した」と語った。

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