女性のがん患者用のウイッグ。福井県は本年度、購入費の一部助成を始めた=6月、福井市の福井県立病院

 がんになっても安心して暮らせる社会づくりが求められる中、福井県は本年度、ウイッグ(かつら)や帽子、人工乳房などの購入費の一部を助成する事業を始めた。治療後の生存年数が延び、気兼ねなく外出するための支援が重要度を増している。既に約50人が申請しており、県健康増進課の担当者は「がん患者の就労や社会参加を応援していきたい」と話している。

 乳がんになった福井市の女性(48)は2年前、抗がん剤治療を受けた。しばらくすると、副作用で、触るだけで髪の毛が抜けていった。「数カ月でまゆ毛もまつげも抜けた。全身の毛が抜け落ちた」。髪形が違う4種類のウイッグを購入。気分や外出先によって使い分けた。値段はさまざまだが、数十万円するものもある。

 県によると、2013年に県内でがんと診断された人は5951人。胃がん、肺がん、乳がんなど主要な五つのがんで、約千人が抗がん剤治療を受けた。県は助成事業で1人当たり1万円を上限に、500人分を本年度当初予算に計上した。

 女性は現在、抗がん剤治療は行っておらず、髪も生えそろっているが「薄毛が気になる」。これまでに買ったウイッグを、今の自分に合うようにカットすることを検討している。まつげの伸びも少なく、人工のまつげを付け足す「エクステンション」をしたこともある。県によると、ウイッグのカットやまつげのエクステンションも助成の対象となる。

 女性は「ウイッグと帽子で外出した時、『洋服屋さんで働いている人ですか』と言われたことがある。すごくうれしかったし、元気になった。治療中でもおしゃれでいたい。ウイッグがあれば、いろんなおしゃれが楽しめるし、外出しやすくなる」と話している。

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