死刑廃止を盛り込んだ宣言案などについて述べる中本和洋日弁連会長=5日、福井市のフェニックス・プラザ

 全国の弁護士が加入する日弁連は6、7の両日、福井市で人権擁護大会を開催し、死刑制度の廃止を掲げる宣言を採択する見通しとなった。死刑について「廃止の議論を開始するべきだ」という従来の立場から「廃止」へと、一気に姿勢を強めることになる。犯罪被害者や、被害者を支援する弁護士らは「被害者の思いを踏みにじる」と強く反発している。

 宣言案は7日、大会2日目の全体大会(福井市体育館)で提出し、出席した弁護士の過半数が賛成すれば採択される。案には、2020年までに死刑制度の廃止を目指し、代わりに仮釈放のない終身刑などを導入する、という内容が盛り込まれるもようだ。

 これに反対の声を上げるのは、1995年の地下鉄サリン事件で地下鉄職員の夫を亡くした高橋シズヱさん(69)。被害救済の特別法制定に奔走し、事件の刑事裁判を見守り続けてきた。

 地下鉄事件では、松本智津夫死刑囚(61)=教祖名麻原彰晃=らオウム真理教の元幹部10人の死刑が確定した。高橋さんは「事件から21年たっても、被害者や遺族の身体、精神、経済、社会的な被害は癒えることがない」と話し、「裁判で認められれば、死刑は当然だ」と訴える。

 日弁連と福井弁護士会は5日、福井市内で会見し、日弁連の中本和洋会長は、死刑制度廃止を盛り込んだ宣言案について「死刑は残酷な刑であり、また冤罪で死刑が執行された場合、取り返しがつかないことになる。国際的な潮流もある」と理由を述べた。

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