全国で講演している山田真由美さん。「認知症を告白することで生活が楽になった」と話す=5月、愛知県名古屋市

 ただ病気の理解不足を感じることも。認知症と知らせ、銀行で手続きをしようとしたが、自筆でなければだめと言われたり、印鑑をバッグから出してくれなかったり…。すいている時間を見計らって、医療費控除の手続きに行った税務署では、簡単な計算をお願いすると「税務署はあなたのためにあるわけではない」と冷たくあしらわれた。

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 自分と同じ若年性認知症の人から「山田さんの経験をたくさんの人に伝えて」と言われ、2016年から講演をするようになった。17年度は全国約50カ所を回った。「とにかく認知症という病気の実態を多くの人に知ってもらいたい。そして少しだけ手助けしてほしい。そうすれば一緒に生きていけるから」

 症状は少しずつ進んでいる。山田さんと講演に回っている名古屋市認知症相談支援センターの鬼頭史樹さん(37)は「講演活動を始めたころは現地集合できたが、今は少し難しくなってきた」と話す。

 休職扱いだった仕事は、今年3月で退職となった。「仕事は大好きだったし社会とつながっていたかった」と今、思う。それでも友人と温泉に行ったり、ランチに行ったり、できる限り人生を楽しんでいる。昨年は歌手の小田和正さんのコンサートに行った。次は松山千春さんだ。

 今年3月、福井県福井市で開かれた山田さんの講演会。約170人を前に、山田さんはこんな言葉で締めくくった。「病気が進んでも私は山田真由美です」

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