福井県勝山市で大学院生菅原みわさん=当時(25)=が絞殺された事件の裁判員裁判の公判は、殺害嘱託(依頼)の有無が争点となったが、依頼したという直接証拠がない中、元福井大大学院特命准教授の前園泰徳被告(44)の供述が最大のポイントとなった。29日に福井地裁が下した判決では検察側の主張が退けられ、同被告の供述の信ぴょう性が認められた。「疑わしきは被告人の利益に」という原則が、判決理由の随所に表れる形となった。

 同被告の供述の信用性を裏付ける材料として、菅原さんの自殺願望の真実性があった。判決では、検察側が菅原さんの自殺をほのめかす行為を「被告の関心を引く行為」とした主張は、メールなどの物証を挙げた上で「セクハラ被害などにより、自殺の意思が強かったとする弁護側主張を否定するほどのものではない」という考え方から、本来の菅原さんの心情を表したものではないとした。

 検察側が主張した動機については、同被告が家族へ危害が加えられることや不倫関係が公になることへの回避を考えた状況もあったとしたが「(同被告が)積極的に嘱託を受け入れる可能性もある」といった理由で、嘱託殺人を否定するには至らなかった。

 同被告の供述で、菅原さんから「もう無理です」「もう殺してください」などと言われたとする核心部分では、自殺の意思があったという前提を基に「関係証拠と矛盾しない」と判断。菅原さんとのやりとりや首を絞めた際の状況の説明に「具体的で、不合理な点は見当たらない」と信頼性を認めた。

 事件直前、菅原さんが攻撃的なメッセージを送った理由について「思いあたる節がない」とした同被告の説明には「不自然さがある」としたが、大部分で供述の信頼性を認める形となった。

 ■判決のポイント

 一、菅原さんの自殺をほのめかす行為が、必ずしも前園被告の関心を引くためのものとはいえない。

 一、菅原さんが自殺する意思があった可能性は否定できない。

 一、前園被告の供述は大部分が具体的で不合理な点は見当たらない。

 一、菅原さんが殺害を嘱託した動機の詳細は判然としないものの、殺害の嘱託がなかったとするには合理的な疑いが残る。

 ■被害者の遺族のコメント

 (刑期は)あまりにも短すぎ、死人に口なしの結果としか言いようがない。ショックを受けている。被告の口から語られる内容は、どれも不合理なことばかりで、まるで信用できない。本当のみわがゆがめられていってしまったことが悔しくてならない。検察官には控訴していただき、高裁ではもっと事実を精査してほしい。

関連記事
あわせて読みたい