柑本修さんが有機栽培で野菜などを育てている畑(手前)と、農家民宿「ざくろの宿」(奥)=福井県鯖江市

 東京電力福島第1原発事故を受け、福島県から福井県鯖江市に移住した柑本修さん(47)=同市=が、市内で農業体験などをしながら宿泊できる農家民宿の運営に取り組んでいる。「地域に支えられた恩返しをしたい」。外国人客も積極的に受け入れるなどし、田舎暮らしの魅力を広く発信しようと意気込んでいる。

 柑本さんは福島県で無農薬米を栽培していたが、原発事故による放射性物質の影響に対する不安から、2011年に知人を頼り家族と自主避難。同市で約5千平方メートルの畑を借り受け、有機栽培で野菜などを育てるようになった。

 畑がある河和田地区は若者が減っているという現状を知り、「助けてもらった恩返しに、地域の役に立ちたい」と一念発起。地元住民の紹介で、借り受けた畑の近くにある築50年の木造2階建ての空き家を譲り受け、昨年4月に農家民宿「ざくろの宿」をオープンさせた。家の持ち主が敷地内でザクロの木を大切に育てていたことから命名した。

 宿泊者は、近くの畑で育てた季節の野菜の収穫や、近所で助け合って行う雪かきなど、田舎ならではの営みが体験できる。近所の住民がお裾分けしてくれる料理を味わえるのも醍醐味の一つ。柑本さんは「地域の生活を経験してもらうことで、魅力を伝えられる。宿泊者には自然の豊かさだけでなく、人の縁や温かさも感じてもらいたい」と話す。

 これまで県内外の人のほか、台湾の修学旅行生、スペイン、ドイツからの旅行者も受け入れてきた。「外国人は特に日本の文化や生活、しきたりなどに強い興味を示していた」と、インバウンド(訪日外国人客)の取り込みにも力を入れだしている。滞在の体験などをインターネットで発信してもらったり、口コミで広げてもらったりすることで「草の根レベルで市の魅力を広めたい」と話していた。

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