福井県福井市が募集している認知症の当事者の声。仕事や家族に対する不安の声もある=5月

 「おれが悪いんや」(50代男性)「なんで仕事に行ったらあかんのや」(同)「仕事もせんのに毎日ごっつぉを食べてもいいんかなあ」(80代女性)「みんな自分のいないところで何話してるんかな」

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 福井県福井市が今年2月から募っている認知症の当事者の声だ。イベントなどでボードに張り出している。市地域包括ケア推進課の岡田早苗さん(47)は「認知症になると全ての判断力がなくなってしまうのではないかという大きな誤解がある。いろんな思いを抱えながら生きていることを伝えることで、病気の理解が深まれば」と狙いを話す。

 寄せられた声の中には家族に対する深い悩みもある。「私はなんでもできるのに、なんでお父さん(夫)は怒るんやろ。怒られると何も言えなくなるわ。私はお父さんのことずっと我慢してきたのに、お父さんは我慢してくれない。家族なのに」

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 「福井県内に、私と同じ病気の人は何人いるの? なんで私だけこんな病気に…」。同市認知症地域支援推進員の吉田祐子さん(41)は1年前、若年性認知症の50代女性に、思い詰めたような様子で問われた。「深い孤独から出てきた言葉だと思う」と吉田さんは振り返る。

 深い悩みや孤独に陥る認知症の人たちの居場所をつくりたいと、2017年6月から月2回、県若年性認知症相談窓口のコーディネーターの協力を得て、本人と家族の交流会「じょいふる291(ふくい)」を開催。簡単な日曜大工や散策のほか、生活の様子を報告したり、悩みを打ち明けたりしている。

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