福井県は十三日、県立病院に併設する陽子線がん治療施設の基本設計の概要を明らかにした。同施設では世界初となる高精度の照射システムを備え、二○一○年三月の治療開始を目指す。総事業費約百億円はほぼ全額を国からの交付金で賄う。

 同日開かれた県会全員協議会で説明した。県立病院北側に、鉄筋コンクリート地上三階、地下一階、延べ床面積五千九百平方メートルの施設を建設する。

 一階に陽子を光速の約70%まで加速する加速器と、患者の周囲を回転する照射装置二基、水平固定の照射装置一基からなる陽子線治療装置を設置。回転式の一基に、患部の形状に応じて照射範囲や深さを変える「積層原体照射システム」を装備する。同システムを取り入れた陽子線治療施設は世界初となる。

 合わせて従来の陽子線治療ではX線画像で行っていた照射位置決めに、CT(コンピューター断層撮影装置)を使うシステムを導入し、高精度で副作用の少ない治療を実現させる。
 二階には陽電子放射断層撮影装置(PET)や陽電子磁気共鳴画像装置(MRI)、遠隔画像転送システム、治療計画を立てるためのシミュレーター室などを整備する。三階は医師らスタッフの共同研究室など、地下は県立病院との連絡通路や倉庫となる。

 陽子線治療装置に四十七億六千八百万円、建築費は約二十九億円を見込んでいる。これまで電源三法交付金を積み立ててきた地域活性化基金や今後の交付金を充てる。事務費などを除くほぼ全額が賄えるという。

 現在、実施設計を行っており、来年十一月に着工する計画。治療開始は一○年三月の予定だが、高精度照射システムによる治療は治験や国の薬事承認が必要で、一二年度からになる見通し。

 県は「陽子線がん治療ネットワーク推進会議」を設置。県内主要病院が連携して施設を活用するための方策を検討している。石川、富山など近県の医療機関との連携を働きかけ、将来的には年間四百人程度の治療を目指す。

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