耕作放棄地をショベルカーで整備する岡村知世さん。福井県内で農業に従事する女性が増加している=福井県若狭町末野

 高齢化が進み衰退が懸念される福井県内の農林業界で、若い女性の活躍が目を引いている。若狭町ではIターンの20代女性が農業に励み、銃猟免許も取得。嶺北地方を中心に活動する林業女子会「やまめの会」は定期的に山の手入れやイベントを行い、環境に優しい木の魅力を発信している。女性ならではの消費者目線が1次産業の活性化につながるとの期待の声は大きい。

 ■10年後考えて■

 高校時代に日本の食料自給率が40%を切っていることを知り、「食べ物を作りたい」と思った岡村知世さん(26)=埼玉県出身。東京農大卒業後の2012年4月から2年間、若狭町の農業生産法人「かみなか農楽舎」で研修を受け、社員として残った。

 コメや野菜作りにやりがいを感じる中で「荒らされると、収穫がゼロ」という深刻なイノシシ、シカ被害を目の当たりにした。「何とかしたい」とわな猟の免許を取った。

 しかし猟期(11月〜3月15日)以外は、イノシシやシカがわなにかかっても駆除できないルールだった。「獣が作物を荒らすのは猟期ではない時期。いつでも駆除できる銃猟免許を取りたかった」。免許を持つ人の多くは高齢で「10年後を考えると、その役割を誰かが担う必要がある」との思いも強く、昨年取得した。

 ■SNSで交流■

 農業の衰退が進む中、6次化や収穫体験、農家民宿などが注目を集めている。農楽舎でも高校生の合宿やインターンシップ受け入れ、イベントなどを行う。下島栄一取締役(67)は「幅広く活動する上で、消費者に近い女性の視点は重要」。社員8人のうち4人は女性だ。

 県内でも女性の農業進出が相次ぎ、女性を含む認定農業の事業者は06年度が98だったが、14年度は231と2・4倍になった。福井県立大の北川太一教授(農業経済学)は「女性はネットワーク力がある。最近は会員制交流サイト(SNS)を活用し、思わぬ人とのマッチングを生んでいる」と指摘。ただ「農協理事や農業委員会の女性登用は十分といえない。農家=男性世帯主という発想から脱皮する必要がある」と提言する。

 ■山借り手入れ■

 林業では13年、県内の女性でつくる「やまめの会」が発足した。メンバーは公務員や会社員、主婦ら約30人。映画上映会やトークセッション、雪上散歩、動物のふんの観察会を展開している。池田町の山の一部を借り、下草刈りなどの手入れもしている。

 14年10月から今年3月にかけては、スギの伐採から家が完成するまでを定期的に計10回見学するという長丁場のシリーズ企画も行った。

 同会の酒田真澄美会長(36)=福井市=は「現在の山は植林によるスギ山が多いが、今後は広葉樹やサクラなど花や実がなる木を植えていければ」と展望を語る。

 その酒田さんは現在育休中。「子どもが生まれ、先の時代を考えるようになった。環境に良く、生活の道具にもなる木の素晴らしさを市民に伝えていきたい」との思いが強まっているという。

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