準備は早めに始めるに越したことはない(デザイン:池田 梢、イラスト:河南 好美)

「人生100年の時代」がやってくる――。平均寿命の上昇につれて、現実味を持って語られているスローガンと表裏をなすように、日本人の中でますます募っている不安がある。それは「老後のおカネ」である。

フィデリティ退職・投資教育研究所が今年4月、約1万人のビジネスパーソンを対象に行ったアンケート調査によると、定年後の不安要素として、最も多くの人が挙げたのが「生活費の不足」だった。

 

しかし、30~40代の働き盛りを中心として、将来起こりうる事態へ十分備えられている人は少数派だ。同研究所が昨年8月に行った別の1万人調査では、現役世代の51%が、(現在の資産では)「老後の生活用資金としては足りない」と回答している。

定年後の支出は意外と減らない

定年を迎えると収入は激減するのはご存じの通り。60歳になると定年となり、再雇用を選ぶと年収はほぼ半減する。新天地を求めようにも、好条件のシニア就職先は少ない。65歳で再雇用が終わり、公的年金生活に入ると収入はさらに減る。会社勤めを30年経験した(厚生年金に30年加入した)平均年収500万円の人がもらえる年金受給額は年160万円程度である。

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一方、定年後は自然と支出が減ると考えている人もいるかもしれない。しかし、統計によれば減少幅はそれほどでもない。2017年家計調査によれば、世帯の月間消費支出は50代前半(35.7万円)をピークにだんだんと減少していくが、それでも70代前半の支出額は25.5万円と、30代前半の値とほぼ同程度にとどまっている。大きな支出項目である食費や水道光熱費はあまり減らない一方で、医療費や冠婚葬祭への支出がむしろ増えるためだ。

そんな老後の収入激減期をどうやって生き抜けばいいのか。週刊東洋経済は7月2日発売号(7月7日号)で「40代から考える 定年後のお金大全」を特集。医療、介護にかかるおカネのことや定年後を見据えた資産運用のコツ、多くもらうための年金の受給法、退職後の知られざる節税術など、知っておかないと損する知識を取りまとめている。

ちまたには老後のおカネに関する情報や“処方箋”があふれている。だが、その通説の多くは一面的だったり、正しい理解がされていなかったりする。

そうした話の1つに「退職までにいくらの蓄えが必要か」という問題がある。一般には退職金も含めて3500万円を目指せばよい、といわれることが多い。しかし、本特集に載せたシミュレーションでは、十分目指せそうな夫婦でも、子どもの教育費や住宅ローンといった定年後の債務額の大きさによっては、80歳前に資金が枯渇してしまう可能性が示された。

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