【論説】福井県小浜市のサバ復活を目指した養殖事業が3年目を迎え、官民連携によって勢いを増している。餌に酒かすを使った養殖ものを「小浜よっぱらいサバ」のブランド名で大々的に展開。「鯖街道」を冠した市内外のサバ料理専門店は4店舗に増え、小浜ものが好評を得ており、観光・漁業振興へ一段と視界が開けてきた。

 養殖は「鯖復活プロジェクト」と銘打ち、市と市漁協、県立大、サバ料理専門店を展開する「鯖やグループ」などが連携している。1年目は千匹、2年目は8千匹を養殖し、今季は若狭湾沖で取れた天然種苗(8千匹)や人工種苗(千匹)など1万匹を9基のいけすで育てている。

 昨年度、酒かすでの育成に試験的に着手したところ、県内外で甘みのある味わいが好評だった。手応えを得た本年度はすべての養殖サバに拡大。市などは今季出荷分からブランド名を「小浜よっぱらいサバ」に統一し、「地域団体商標」の登録を目指している。特徴的で印象に残るブランドだけに、全国にアピールできる素材となりそうだ。

 一方で市と連携協定を結んでいる鯖やグループは、鯖街道をコンセプトとした店舗を昨年4月の大阪市を皮切りに、東京・銀座、京都市に相次いでオープン。それぞれ小浜産のサバが提供されており、アンテナショップとしての役割も兼ねている。

 さらに今年3月には鯖やが“聖地”と位置づける小浜市田烏に開業した。当初、土日曜、祝日のみの営業だったが、県内外からの客で連日満席。金曜日も開店するようにしたほどの好調ぶりだ。

 県外の店舗に比べ安価で提供しているのが魅力という。それでも浜辺に近い閑静な集落だけに、これほどの人気を博したのは、驚きを呼んだ。半面、内容があれば人を呼べることを証明したともいえる。小浜の関係者にとって大きな自信につながるだろう。

 養殖サバは、島根県の「お嬢サバ」など各地で取り組まれている。天然ものでは関サバをはじめ全国的に知られる産地があり、地域間競争は激しい。また、例えば鯖街道の終着点としてつながりの深い京都の市場をみると、小浜産の魚介類の取引量は少ない。知名度に加え水揚げ量の問題もあるというが、今後、いかに特色を出して認知度を上げるかが課題となりそうだ。

 印象深い小浜ブランドが生まれ、鯖やの各店舗を足場にじわじわと広がりを見せているのは期待が持てるが、さらに発信の多極化がほしいところ。市は「御食国(みけつくに)」をキーワードに、若狭の食のPRを推し進めているだけに、効果的な情報発信戦略を構築してほしい。

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